2次分析(読み)にじぶんせき(英語表記)secondary analysis

最新 心理学事典 「2次分析」の解説

にじぶんせき
2次分析
secondary analysis

2次分析とは,オリジナルの研究が分析したデータを,同じ目的であるが,異なる手法を用いて再分析すること,あるいは別の研究目的のもとで元のデータを分析することである。一般に,研究全体に要する人的,金銭的,時間的コストにおいては,データ収集に要するコストの占める割合が大きい。2次分析のメリットは,データ収集のコストを大きく下げることができる点にある。また,同じデータでも分析の手法が異なれば,導かれる結論が異なることもあり,当該研究分野の発展にも役立つ。反面,データ収集およびデータセット確定までの過程に関する詳細な情報を主体的に得ることができないというデメリットもある。データ収集および後処理時の情報が不足することによりデータ分析が困難になったり,結果の妥当性が低くならぬよう留意する必要がある。

 収集したデータセットの有効利用という観点からも,2次分析が広く行なわれることが望ましい。しかし,日本では心理学に限らず社会科学一般で2次分析による研究が活発ではない。これには2次分析による研究が評価されにくいという事情もあるが,なによりも公開されているデータがほとんどないということがその大きな理由である。社会学関連領域では,社会調査の公開データが近年日本でも整備されつつある。SSJデータアーカイブSocial Science Japan Data ArchiveやSocial and Opinion Research Database(SORD)がその代表である。また,いくつかの公的統計についても,匿名化された個票データを利用することが可能である。
吉村 宰〕

出典 最新 心理学事典最新 心理学事典について 情報

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