2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン(読み)テトラクロロジベンゾジオキシン

化学辞典 第2版 の解説

2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン
テトラクロロジベンゾジオキシン
2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin

C12H4Cl4O2(321.96).略称TCDD.触媒量のFe Cl3の存在下,ジベンゾ-p-ジオキシンをクロロホルム中長時間塩素と反応させると得られる.無色の針状晶.融点306~307 ℃.除草剤2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸を製造する際の副生物としてはじめて見いだされたが,さらにベトナム戦争時の除草剤の散布のたびに急性毒性,発がん性,催奇形成による被害者を生んだことで問題にされ,現在はダイオキシンと俗称されるポリ塩素化ジベンゾ-p-ジオキシン類のなかでもっとも毒性の強い化合物である.これらは工場廃棄物に含まれているほか,ごみの焼却森林火災など自然現象でも生成して環境中に放出されているとみられている.LD50 0.284 mg/kg(マウス経口),6 μg/kg(モルモット,経口).[CAS 1746-01-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシンの言及

【化学兵器】より

…アメリカ軍はベトナム戦争においてゲリラの隠れ家と食糧源を破壊する目的で〈枯葉作戦〉を実施,大量の除草剤(枯葉剤と呼ばれた)を散布した。このため熱帯の密林に長期間の生態系破壊をもたらしたほか,不純物として含まれる2,3,7,8‐テトラクロロジベンゾ‐p‐ジオキシン(一般にTCDDあるいはダイオキシンと呼ばれる)の強力な発癌性,胎児への催奇性などが,住民および散布に参加した米兵に悲惨な災害を与えつつある。 このように化学兵器は化学工業が発達する過程で着想され,軍事用に開発されたが,非軍事産業の生産過程で毒物が生産されて汚染問題となる例も多い。…

※「2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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