森林火災(読み)しんりんかさい

日本大百科全書(ニッポニカ)「森林火災」の解説

森林火災
しんりんかさい

森林原野が火によって焼け損じること。一般には山火事とよばれるが、消防法上では林野火災とされている。森林火災は、短期的には変動があるものの、被害面積は2000年(平成12)14.645ヘクタール、2009年4.144ヘクタールと長期的には減少傾向にある。しかし国土保全、水資源の涵養(かんよう)、景観保全上からも有効な防止策が講じられなければならない。発生原因は、たばこ・マッチ、たき火、火の粉など、火の不始末に伴う人為的なものが大部分を占める(林野庁編『森林・林業統計要覧』)。年間における月別発生件数をみると、地域によっても異なるが、おおよそ12~4月に集中しており、とくに太平洋側でこの傾向が強い。これは、降雨量が少なく、空気が乾燥し、季節風が吹くなど、火災が発生しやすい自然的条件下に置かれるためである。

 1960年代以降、林道開発、森林レクリエーション需要の増大に伴って入山者による森林火災の危険性が高まったのに対し、地元である山村では過疎化が進行し、林野利用が後退するなかで、火事に対する看守消火体制も弱体化している。したがって対策の重要性は従来よりも増してきている。火災対策としては、国や自治体等による予防、消火、災害対策などがあるが、未然に防ぐことがなによりも重要であることはいうまでもない。予防対策としては、国民に対する啓蒙(けいもう)活動、林内パトロールなどが行われている。消火対策には、消火機材の配備、延焼防止のための防火線、防火林の設置とともに、1980年(昭和55)以降はヘリコプターによる空中消火も実施されている。

 なお、森林火災によって生じた損害を填補(てんぽ)する制度としては、森林国営保険のほか、全国森林組合連合会が行う森林災害共済、民間損害保険会社の行う森林火災保険がある。森林国営保険は「森林国営保険法」(昭和12年法律第25号)にもとづき、政府が保険者、森林所有者を被保険者として、火災、気象災害、噴火災により発生した災害に対する保険である。加入率は漸減傾向にあり、2009年度末の加入率は13%にすぎない。森林国営保険は、2010年に行政刷新会議によって行われた、当該事業の必要性を判断する「事業仕分け」において、廃止(国以外の主体に移管)とされている。

[野口俊邦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の森林火災の言及

【火事】より

…このようなガスによる中毒が,近年の耐火造建物火災(ホテル,デパートなど)で死者が多く出る一つの原因とされている。(2)林野火災 森林火災,山火事ともいい,次のような種類がある。(a)樹冠火(または樹梢火)は林木の樹冠が燃えるもので,スギ,ヒノキ,アカマツなど針葉樹に多く起こる。…

【山火事】より

…森林火災,林野火災ともいい,森林,牧野,原野の火災をいう。農作業のたき火,ハイカーのタバコ,造林のための火入れなど,ほとんどが人為的な原因でおこる。…

※「森林火災」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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