EVシフト(読み)いーぶいしふと

知恵蔵 「EVシフト」の解説

EVシフト

ガソリン車から電気自動車(EV)への転換を図る世界的な動き。EVは、Electric Vehicleの略。地球環境・資源問題への関心の高まりを背景に、二酸化炭素を排出しない電気モーターを使った自動車の開発・普及の動きに拍車がかかっている。
2017年7月、フランス政府は温室効果ガス削減を掲げた「パリ協定」の遵守に向け、40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を表明。同月、続いてイギリス政府も同様の方針を発表した。フォルクスワーゲン社の排ガス不正問題で揺れたドイツも、30年までに全廃するという決議連邦議会で採択している。この他、オランダノルウェースイスベルギースウェーデンも、25~50年までの全廃を掲げており、欧州でのEV化の流れは規定路線になっている。
自動車生産台数世界トップで大気汚染が深刻な中国も、17年9月にEVシフトを念頭においたNEV(新エネルギー車)政策を発表した。19年から、国内の自動車メーカーに一定割合でEVやハイブリッド車を生産することを義務づけるNEV規制の導入で、20年にはNEVを年間200万台生産するという目標を掲げている。
日本はこれまで、トヨタやホンダのハイブリッド車で世界のエコカー市場を牽引してきた。しかし現在、世界の潮流はゼロ・エミッション(炭素排出ゼロ)を可能にするピュアEVの開発に移っており、PHV(プラグインハイブリッド車)に力を注いできたトヨタはEV開発での出遅れが指摘されている。17年9月、トヨタはマツダデンソー共同でEVの基盤技術を開発する新会社設立を発表。資本技術提携による、早期の量産体制確立をめざしている。

(大迫秀樹 フリー編集者/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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