FTNMR(読み)エフティーエヌエムアール(その他表記)Fourier transform nuclear magnetic resonance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「FTNMR」の意味・わかりやすい解説

FTNMR
エフティーエヌエムアール
Fourier transform nuclear magnetic resonance

核磁気共鳴吸収スペクトルの測定方法の1種。フーリエ変換 NMRともいう。強いラジオ波磁場を静磁場に置かれた試料に,パルスとして短時間 (10~100マイクロ秒) 照射し,大きな横磁化成分をつくる。ここで生じた磁化の成分は,静磁場の中で歳差運動をしながら時間とともに減衰消滅する。この減衰を自由減衰 free induction decay; FIDと呼ぶ。この FID曲線をフーリエ変換すると NMRスペクトルが得られる。同様な原理を用いて,電子スピン共鳴吸収スペクトルも測定できる。測定に要する時間が短く,分解能も高い。また,磁気緩和時間の測定ができるなど,多くの長所がある。

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世界大百科事典(旧版)内のFTNMRの言及

【核磁気共鳴】より

…この方法は,それまでの掃引(周波数または磁場を連続的に変化させる)の代りに,共鳴周波数の幅に相当する電磁波をすべて含むパルスを照射し,得られる時間領域スペクトルをフーリエ変換して周波数領域スペクトルを得るものである。パルス・フーリエ変換によるNMRいわゆるFT NMRの普及によって,C‐13核やその他の核たとえばN‐15,Si‐29などのNMRの測定も可能となった。FT NMRの導入は,緩和時間など時間に関係するパラメーターの取得を可能にした。…

※「FTNMR」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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