日本大百科全書(ニッポニカ) 「USAトゥデイ」の意味・わかりやすい解説
USAトゥデイ
ゆーえすえーとぅでい
USA Today
アメリカで最初の一般全国紙。親会社は全米で出版、放送、デジタル事業を行うメディア企業のガネット社Gannett Co., Inc.。同社の会長兼社長のニューハースAllen Harold Neuharth(1924―2013)の強力なリーダーシップのもと、2年間の市場調査を経て1982年9月に創刊した。発行部数20万部からスタートした同紙は、本社で編集した紙面を衛星経由で地方の印刷所に送る方法によって全国に販売網を整え、創刊1年後には100万部を突破し、2001年には230万部を発行する全米最大新聞に成長した。その後、新聞業界の不振により2010年には180万部まで減少したが、ウォール・ストリート・ジャーナルに次いで2位の発行部数を保っている。「わかりやすく、読みやすい新聞」をコンセプトに、カラフルな図やグラフを多用し、テレビを意識した紙面づくりを行っている。また一本の記事量を短くし、短時間で簡単に読めるようになっている。創刊当初は、地方紙が圧倒的なアメリカで全国紙の成功を疑問視する声や、同紙を新聞界のファストフード、手軽さだけが取柄の「マックペーパー」という批判があったが、現在では記事のわかりやすさ、独自性のある紙面構成で多くの読者を獲得している。全米各地の天気が1ページに収められている天気欄や、全州の各トップニュースが短く並べられているページなどに人気がある。またスポーツ欄や人々のライフスタイル調査も定評がある。紙のサイズは日本の一般日刊紙よりやや縦長で、横幅は5センチメートルほど短い。
[木村綾子]
『ピーター・プリチャード著、平野勇夫訳『「USAトゥデイ」成功の軌跡――全米No.1への栄光と苦闘』(1988・日本実業出版社)』▽『アル・ニューハース著、由布翔子訳『大いなる野望――わが全米メディア制覇への道』(1991・ダイヤモンド社)』