六訂版 家庭医学大全科 「B型ウイルス肝炎の治療」の解説
B型ウイルス肝炎の治療
(肝臓・胆嚢・膵臓の病気)
①インターフェロン(IFN)治療
日本では従来、IFN治療はHBe抗原陽性のB型慢性肝炎に対して保険適応となっていましたが、2011年からPEG化したIFN(PegIFNα2a)製剤がe抗原の有無にかかわらずB型慢性活動性肝炎に対して保険適応となっています。副作用は発熱、食欲低下、
抗ウイルス効果は核酸アナログ製剤に比べると弱いのですが、
②核酸アナログ治療
2000年以降、HBVの増殖を強力に抑制する核酸アナログ製剤(ラミブジン(LAM)、アデホビルピボキシル(ADV)、エンテカビル水和物(ETV)、テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)、テノホビル・アラフェナミド(TAF))の開発が進み、一般臨床において広く用いられるようになっています。これらはすべて内服薬であり、IFNにみられるような副作用はほとんどみられません。ウイルス増殖を強力に抑制し、肝炎を沈静化させます。しかし、肝臓からHBVを完全に排除する効果はなく、投与中止後には高率に肝炎が再発します。また長期投与した場合には、薬剤耐性ウイルスの出現がみられることがあります。
LAMは最も早くB型慢性肝炎に適応となった核酸アナログ製剤ですが、投与1年で20%、2年で40%、3年で60%と、耐性ウイルス出現率が高いのが問題でした。LAMに対する耐性ウイルスが出現している症例に対しては、LAMとADVの併用治療、またはETV、TDF、TAFの投与を行うことで長期にわたる治療効果が期待できることが示されています。
今後新たに核酸アナログによる治療を受ける場合は、長期投与でも薬剤耐性ウイルスが出現しにくいETV、TDF、TAFが、抗ウイルス治療の中心となっています。
核酸アナログによる治療は、30~40歳以上の慢性活動性肝炎症例が、最も良い適応となります。長期投与の必要性や胎児への影響などから、若年症例に対する適応は慎重にしなければなりません。しかし肝生検の結果などにより、高度に進行した慢性肝炎や
③
肝庇護療法(ウルソデオキシコール酸、強力ネオミノファーゲンC、グリチルリチン製剤、
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報