知恵蔵 「G20大阪サミット」の解説
G20大阪サミット
2日間の日程を終えて採択された首脳宣言の主な内容は、「世界経済のリスクへの取り組みの継続」「自由で公平な貿易・投資環境の実現」「デジタル化、イノベーションの活用による世界経済の成長」「包摂的かつ持続可能な世界に向けた開発促進」「労働における男女間の格差削減」など。プラスチックごみによる海洋汚染問題では、50年までに追加汚染をゼロにするという具体的な目標も示されている。しかし、最も注目されていた米中貿易戦争の解消に向けた方策は提起されず、保護主義に対抗するという文言も盛り込まれなかった。また、徴用工訴訟問題で溝を深める日韓の首脳会談も実現しなかった。
なお、G20は「Group of Twenty」の略で、G7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)のアメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・日本と、新興国を中心としたロシア・中国・韓国・インド・サウジアラビア・ブラジル他の12カ国及びEU(欧州連合)の代表からなる。1997年のアジア通貨危機をきっかけに、99年にベルリン(ドイツ)で開催されたのが始まり。当初は国・地域連合体の財務大臣や中央銀行総裁を中心とした会合だったが、リーマンショックに端を発した世界金融危機の拡大を受けて、2008年からは各国の首脳も加わるようになった。
(大迫秀樹 フリー編集者/2019年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報