中東(Middle East)と北アフリカ(North Africa)地域の呼称。Middle East and North Africaの頭文字を並べてMENAとよぶ。BRICs(ブリックス)(ブラジル、ロシア、インド、中国。2011年より南アフリカを加えてBRICSと表記)に続き成長が期待される地域として、NEXT11(ネクストイレブン)(イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコ)やVISTA(ビスタ)(ベトナム、インドネシア、南アフリカ共和国、トルコ、アルゼンチン)などとともに関心が高まっている。国際機関や研究機関ごとに領域の定義はさまざまではっきりと決まっていないが、東はイラン、西はモロッコ、北はトルコまでの国・地域で、アラビア半島から中東を経て、アフリカの地中海沿岸諸国までをさす場合が多い。カスピ海と黒海の間に位置するアゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア(グルジア)、地中海の島であるキプロスとマルタ、北アフリカで地中海に面していない西サハラ、モーリタニア、スーダン、ジブチ、ソマリアを含む場合もある。なお世界銀行はMENAの領域を、アラブ首長国連邦、アルジェリア、イエメン、イスラエル、イラク、イラン、エジプト、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、シリア、ジブチ、チュニジア、バーレーン、マルタ、モロッコ、ヨルダン、ヨルダン川西岸・ガザ地区、リビア、レバノンの21か国・地域と定義している。
石油など豊富な天然資源があり、オイルマネーを使った産業集積や技術導入に積極的であることから、資源価格が高騰した21世紀初頭に投資先として注目されるようになった。欧米投資ファンドがMENA諸国の株式などに投資する金融商品を相次いで販売し、日本でも2007年(平成19)にMENA株式などに投資するファンド・オブ・ファンズ(投資信託を投資対象とするファンド)が登場した。2011年の域内人口(世界銀行定義ベース)は4億5900万人と日本とアメリカを足した人口より多く、人件費は安価である。域内の出生率・人口増加率は高く、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールなど1人当り国内総生産(GDP)が4万ドルを超える国もあり、消費市場としても高い購買力を期待できる。イスラム教国が多く、多くの国・地域でアラビア語が使われており、イスラム教固有の慣習や伝統に従えば、企業は販売網を拡大しやすい利点がある。このため欧米だけでなく、日本からも食品、生活用品、自動車、電機、重機など多くの企業がMENA進出を始めている。しかし域内にはイスラエルとアラブ諸国、イラン、イラクなど紛争や国際問題を抱えている国が少なくないうえ、2010年末から始まった民主化運動「アラブの春」の影響で政情が不安定になりがちというリスクがある。
[編集部]
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