通信社(読み)つうしんしゃ(英語表記)news agency

翻訳|news agency

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

通信社
つうしんしゃ
news agency

内外のニュース,写真,ニュースの資料を,主として報道機関 (ときには官庁商社など) に提供する機関。あらゆる場所で起るニュースを新聞社放送局がカバーすることはできないので,各社が資金を出し合って共同でニュースを取材する機関をつくり出したものである。営業形態から国営民営に,また民営は組合通信社 (アメリカAPや日本の共同通信社などのように報道機関が協同して設立したもの) と商業通信社に,その規模から国際通信社と国内通信社にそれぞれ分類できる。またアメリカでは,プレス・シンジケートといって,コラムや漫画などニュース以外の呼び物記事を新聞社に提供する専門通信社が発達している。 1835年にフランスで誕生したアバスが近代的な通信社の最初。

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知恵蔵の解説

通信社

取材したニュース・写真や論説、さらにはマンガや小説などを、自ら報道に使用するのではなく、他の新聞社や放送局、さらには官庁・企業・個人などに提供する事業体。通信社の存在によって、新聞社や放送局は、自ら取材が困難な全国ニュースや国際ニュースなども読者・視聴者に伝えることが可能になる。日本では現在、加盟社による分担金拠出で運営される社団法人の共同通信社と株式会社の形態をとる時事通信社が2大通信社で、いずれも戦前の国策通信社であった「同盟」が戦後解散して誕生したもの。世界的には、イギリスのロイター(Reuters)、アメリカのAP(Associated Press)、フランスのAFP(Agence France‐Presse)などがよく知られている。もともと通信社は、商人や金融業者などに対して金融や相場に影響する情報をいち早く伝えることを事業の柱として発展した。ロイター社などでは、今日でも金融経済情報からの収入が圧倒的な割合を占めている。近年の日本では、全国紙が地方紙に対して記事を流すといった、一種の通信社機能を持ち始めていることも注目される現象である。

(浜田純一 東京大学教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

つうしん‐しゃ【通信社】

ニュースを取材し、新聞社・放送局・雑誌社などに提供する会社。米国のAPやUPI、英国のロイター、フランスのAFP、ロシアのイタルタス、中国の新華社、日本の共同通信社など。

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世界大百科事典 第2版の解説

つうしんしゃ【通信社】

新聞社,放送局などにニュースを提供する機構。ニュースは,あらゆる場,対象から収集されるが,その共通な部分については,通信社がこれを収集することにより,新聞社,放送局などは経費と労力を節減でき,同時に自社独特の取材範囲を拡張できる。ここに通信社の意義がある。広くニュースを収集,配布するためには大きな通信網を整えなくてはならないから,大きな組織を必要とする。APUPI(アメリカ),ロイター(イギリス),AFP(フランス),タス(現在イタル・タス,ロシア)の5社は,世界のニュースを収集し,これを多数の国々に配布する通信社として,世界通信社World News Agencyと分類されている。

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大辞林 第三版の解説

つうしんしゃ【通信社】

新聞・雑誌・放送など報道関係の会社に国内外のニュースを提供したり取得する会社。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

通信社
つうしんしゃ
wire servicenews agency

ニュースおよびニュース資料を収集し、それを新聞、雑誌、放送などマス・メディアその他官庁、企業などに提供する機関をいう。マス・メディアは国内・国外で日々発生するニュースを報道しなければならないが、そのすべてを自力で収集するには、膨大な通信網を整備するとともに莫大(ばくだい)な経費と労力を必要とし、その負担は大きく、むだも多い。そこで新聞、放送などの求める共通的なニュースを収集し、供給する機関として通信社が生まれてきた。通信社業務の発生は経済ニュースの需要から始まったとみられるが、新聞の発達に伴い、その業務も一般時事ニュースに拡大し、近代的通信社が成立した。その最初のものは1835年に創立されたフランスのアバスで、日本では、1888年(明治21)三井の益田孝(ますだたかし)が創立した時事通信社とされる。このように、かつては一般的におもにマス・メディアにニュースを提供するのが通信社の主要業務であると考えられてきたが、今日では様相を一変させている。というのも、ロイターなどの世界的な通信社の多くは、その収益の大半を、金融機関などにリアルタイムの情報を提供する業務から得るようになったためである。また、ソ連時代のタス通信(ソ連崩壊後の1992年にイタル・タスと名称変更)のように、国営通信社が諜報(ちょうほう)機関としての役割を果たすこともある。香港(ホンコン)が中国に返還される前は、新華社が香港における事実上の大使館の役割を果たしていた。[高須正郎・伊藤高史]

世界

2000年現在、世界の140以上の国に通信社があるが、その性質、規模、目的、作業方法には大きな差異があり、巨大な超国家的企業となっているもの、国家的通信社で国際的作業も行うもの、国内的な目的の国家的通信社、その他各種の専門的通信社がある。このうちロイター(イギリス)、AFP(フランス)、APとUPI(アメリカ)、イタル・タス(ロシア)の5社は、全世界のニュースを収集して、数多くの言語で世界各国に配布するシステムの規模と技術的な力によって、とくに広範な国際的役割をもち、世界通信社world news agencyとよばれている。通常、世界のニュースの収集、配布は、主としてこれら5社によって行われ、1日数十万語の国内・国外ニュースを収集し、各国の国家的通信社および数千の契約新聞社、ラジオ・テレビ局に24時間体制でニュースを提供している。
 通信社は、国内・国外のニュースを国内のマス・メディアなどに提供するだけでなく、自国のニュースを世界に流通させる重要な役割を担っているため、国益と密接な関係をもっている。したがって各国政府は国家的通信社の維持、発展に大きな関心を払っている。アバスに始まった近代的通信社は、続いて1849年ドイツにウォルフ、51年イギリスにロイターが創設され、19世紀後半、世界の三大通信社として世界のニュースを支配したが、20世紀に入り、二度の世界大戦を経て、各国の力関係が変化するに伴い、資力を誇るアメリカの二大通信社が発展し、さらにソ連時代のタス通信社がその地歩を広げ、現在の五大世界通信社による世界情報通信体制が現出した。[高須正郎・伊藤高史]

日本

日本では、時事通信社に続いて明治期には、帝国通信社(略称帝通)、日本電報通信社(電通)が日清(にっしん)・日露戦争を通じて業務を拡大、日本の二大通信社として競争。20世紀に入っては、帝通の没落にかわって日本新聞聯合(れんごう)社(聯合)が生まれ、電聯競争時代を展開したが、1936年(昭和11)国策によって両社の通信業務を吸収した同盟通信社(同盟)が設立され、日中戦争から第二次世界大戦中、東洋の最大通信社として活動した。しかし45年の敗戦によって同盟は解体、現在の共同通信社(外部の力を排除するため組合組織としている社団法人)と時事通信社(株式会社)が創設され、以後、日本を代表する通信社として現在に及んでいる。[高須正郎・伊藤高史]
『通信社史刊行会編・刊『通信社史』(1958) ▽今井幸彦著『通信社』(中公新書) ▽倉田保雄著『ニュースの商人ロイター』(朝日文庫) ▽江口浩著『「TOKYO発」報道戦争』(1997・晩声社) ▽金子敦郎著『国際報道最前線』(1997・リベルタ出版)』

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