改訂新版 世界大百科事典 「n進法」の意味・わかりやすい解説
進法 (エヌしんほう)
n-adic number system
一つの自然数nを単位として一般の自然数を表す方法。0からn-1までを表す記号を用意すれば,1,n,n2,n3,……を,それぞれ1桁目,2桁目,3桁目,……の単位として,すべての自然数が表記できる。自然数を表記するためにはどの進法でもさしつかえないが,たいていは特別なものが使われる。例えば,われわれはふつうに自然数を表すとき,10を基本にして,0から9までの数字を使っている。これは十進法と呼ばれている。歴史的には,十進法のほかに,文化圏によって五進法,二十進法,六十進法などが使われた。五進法,十進法,二十進法が,それぞれ人間の手の指が5本,両手で10本,両手両足で20本であることに由来することはまちがいないであろう。太陽の運行を基礎にして定まる1年が,月の運行で決まる1ヵ月のほぼ12倍であることから十二進法が考えられ,それと十進法の組合せで10と12の最小公倍数を取って六十進法が使われるようになったのであろう。最近はコンピューターとの関係で二進法が利用されている。このほか,長さ,面積,体積,重さなどにも,十進法以外に十二進法(1フィート=12インチ),十六進法(1ポンド=16オンス,1オンス=16ドラム)などの要素が使われている。
→記数法
執筆者:丸山 正樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報