日本大百科全書(ニッポニカ) 「NCFTA」の意味・わかりやすい解説
NCFTA
えぬしーえふてぃーえー
サイバー犯罪に関する情報共有や捜査支援、被害防止のために設けられた、アメリカの非営利団体。National Cyber-Forensics & Training Allianceの略称である。日本では「米国サイバー鑑識・訓練協定」「全米サイバー犯罪科学訓練同盟」などと訳されている。1997年にペンシルベニア州ピッツバーグで設立された。法執行機関、民間企業、大学による産学官連携組織で、FBIを中心に、民間企業ではマイクロソフト社やシマンテック社などの情報技術関連企業のほか、銀行、クレジットカード会社、製薬会社などが参加し、学術機関では情報技術に強いカーネギーメロン大学などが加わった。サイバー犯罪の手口、被害情報、コンピュータ・ウイルス情報などを集約・蓄積してデータベース化し、これを専門家が分析。捜査員の訓練や捜査の技術支援に役だて、被害予防や犯罪摘発などの成果をあげている。海外の関係機関との連携や、海外捜査員の訓練などにも取り組んでいる。
日本ではインターネットバンキングの不正送金事件が後を絶たず、被害額が急増している。さらに、2012年(平成24)に発生したパソコン遠隔操作事件では4人の誤認逮捕者を出し、サイバー関連捜査の技術向上や民間企業との情報交換が不可欠になっている。このため政府は2013年末に、NCFTAを参考にした総合サイバー犯罪対策組織の創設を閣議決定。警察庁がセキュリティ会社などの民間企業や大学・研究機関などと連携して設立準備を進めている。2011年11月には国に先駆けて京都府で、京都府警、大学、民間企業が連携する地方版のNCFTA「京(みやこ)サイバー犯罪対策協議会」が発足した。
[編集部]