銀行などの店舗網を使わずに、インターネットを通じて振込み、振替え、クレジットカードの決済、残高照会、小口ローンの借入れなどの個人や法人向け金融サービスを提供する仕組み。単にネットバンキングともいう。顧客は銀行に足を運ばなくても24時間いつでも利用でき、銀行も窓口の維持管理コストを節減できるため、急速に普及した。通常は家庭のパソコンで利用するが、携帯電話を使ったモバイル型のネットバンキングサービスも登場した。ただ、偽サイトによる預金の不正引出し事件などが後を絶たず、不正防止策の向上や被害補償のルールづくりが課題となっている。
アメリカでは、1995年にインターネット専業銀行が誕生し、1990年代後半にはさまざまなサービスが登場した。日本でも1998年(平成10)から大手銀行が大手電気・通信企業と組んでインターネット銀行を立ち上げ始め、2000年に金融監督庁(現、金融庁)などが異業種の銀行参入規制を緩和したことで、電機メーカーや小売り業者といった異業種からのネットバンキング業務参入が相次いだ。現在、すべての大手銀行、地方銀行がネットバンキングサービスを提供している。機能もインターネット上の仮想商店やオークション(競売)サイトの決済サービスとして使われているほか、株式などのオンライントレードの決済や公共料金の振込みなどに広がっている。
近年、正規サイトを装って暗証番号などを不正入手する「フィッシング詐欺」などの手口が巧妙になり、インターネットバンキングで預金を引き出される被害が急増している。大手銀行などはパスワードの毎回変更、確認メール送信などの対策を講じているが、被害の増加に歯止めはかかっていない。
[矢野 武]
『大崎貞和・飯村慎一著『インターネット・バンキング――ネットワーク金融の虚実』(2001・日本経済新聞社)』
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
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