コンピュータウイルス(読み)こんぴゅーたういるす

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンピュータウイルス」の意味・わかりやすい解説

コンピュータウイルス
computer virus

USBメモリなどの外部記憶装置(→補助記憶装置)や,インターネットLANなどのネットワークを通じてコンピュータに入り込み,プログラムの中に自分自身をコピーし,本体のプログラムが実行されると,データの破壊・改竄かいざん)や情報漏洩・窃盗などを行なうプログラムコード。侵入してから一定期間潜伏したのちに作動し,ほかのコンピュータに増殖・伝染していくため,ウイルスと呼ばれる。似たものに,ワーム computer wormとトロイ木馬 trojanと呼ばれるものがある。ワームは自分自身の複製がほかのコンピュータに送り込まれ,そこで実行を開始する独立したプログラムである。トロイの木馬は,良性のプログラムに忍び込ませてあり,そのプログラムを実行すると本性を現して悪事を働くプログラムコードであるが,自己複製機能をもたない。これらやコンピュータウイルスなどをまとめてマルウェア malware(悪意のあるソフトウェア)と呼ぶ。コンピュータウイルスという名はフレデリック・B.コーエンによる。1970年代に現れ,1980年代以降広がった。日本でも 1988年から被害が報告されるようになった。コンピュータウイルスの対策には,予防検出および回復が重要であり,そのためのワクチンと呼ばれるソフトウェアが用いられる(→ウイルス対策ソフトウェアセキュリティ対策ソフトウェア)。ただし,技術的対策だけでは十分な効果は期待できず,教育(→コンピュータリテラシー)やコンピュータ運用などの,人間を含めた対策が必須である。(→コンピュータセキュリティ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンピュータウイルス」の意味・わかりやすい解説

コンピュータ・ウイルス
こんぴゅーたういるす

プログラムやデータの中に悪意をもってひそかに組み込まれたプログラム。それを知らずにコピーして、コンピュータ上で稼働させると、ウイルスプログラムが動き出して、コンピュータ上の記憶内容をかってに破壊するなどの害をもたらす。エクセル(EXCEL)のマクロや、メールの添付書類に組み込まれるウイルスもある。「ワクチン」とよばれるウイルスを検出、除去するプログラムがつくられている。ウイルスに感染しない最良の手だては、身元が不確かなプログラムやデータを取り込まないこと、そして常時ワクチンプログラムを走らせることである。

[田村浩一郎]

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