日本大百科全書(ニッポニカ) 「VEBA」の意味・わかりやすい解説
VEBA
ふぇーば
VEBA AG
ドイツにあった大手エネルギー会社。2000年にVIAG(フィアグ)と合併し、エーオンとなった。
VEBAはVereinigte Elektrizitäts- und Bergwerks-Aktiengesellschaftからで、1929年にプロイセンの電力会社や鉱山会社が統合される形で誕生した。当時、プロイセンの国営企業の多くが経営難に陥っており、統合は財政的な負担を軽減する目的から実施された。この時期ドイツでは、鉄鋼業界の合同製鋼会社、化学産業のイー・ゲー・ファルベンといずれも合併・統合による独占企業が誕生しているが、VEBAもまた電力・エネルギー分野における巨大企業として君臨した。第二次世界大戦後、これらの企業は連合国の管理下に置かれ、経済力集中排除の方針の下で解体された。1948年、VEBAは業務を再開し、1964年には連邦政府が所有していた株式の一部を放出することで、部分的に民営化が開始され、1987年には政府所有の残り25%の株式も放出されて完全に民営化された。同じドイツ国内にあるRWE(電力会社)やVIAG(エネルギー、化学、包装、物流会社)といったほかのエネルギー企業の場合には、地方自治体や州政府が依然として株式の多くを所有しているが、VEBAの場合、株式が民間に分散している。1994年、イギリスの通信会社ケーブル・アンド・ワイヤレスCable and Wireless(C&W)と提携し、遠隔通信分野に進出したが、1997年、戦略の違いなどにより提携を解消し、RWEと合弁会社オテロo.tel.oを設立するなど、事業の多角化を推し進めた。しかし、1999年2月にヨーロッパ連合(EU)主要国が電力自由化に踏み切ったことにより、エネルギー業界の再編を促し、VEBAは2000年6月にVIAGと合併、新会社エーオンを設立した。これにより、ドイツ国内の電力約4割を握る電力会社が発足した。
1999年のVEBAの総売上高は529億0500万ユーロ、従業員数は13万1602人であった。
[所 伸之]