堀江貴文(読み)ほりえたかふみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「堀江貴文」の意味・わかりやすい解説

堀江貴文
ほりえたかふみ
(1972― )

株式会社ライブドア元代表取締役社長。10月29日、福岡県生まれ。東京大学文学部中退。1996年(平成8)、ウェブサイト制作会社であるオン・ザ・エッヂを大学在学中に設立。2002年、経営破綻(はたん)した旧ライブドア社より無料プロバイダー事業の営業譲渡を受け、2004年、社名を株式会社ライブドアに変更した。

 2004年、経営難によりオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)との合併が決定していた大阪近鉄バファローズ買収に名のりをあげ、プロ野球参入を表明した。また、新球団設立を提案し、結果として同じくインターネット関連企業である楽天(社長三木谷浩史(みきたにひろし))と比較審査され敗れはしたものの、一躍マスコミの注目を浴びることとなった。さらに2005年2月、アメリカ流のファイナンステクニックを使い、リーマン・ブラザースから巨額の資金を調達し、ラジオ局のニッポン放送株を大量取得。資本面でみれば、巨大メディアグループであるフジサンケイグループの中核企業であったニッポン放送の筆頭株主となり、メディア事業への参入を表明した。この買収劇は結果としてはフジサンケイグループの実質的な中枢を担うテレビ局のフジテレビジョンにニッポン放送株を譲渡することで決着した。このような日本ではなじみのない、はでな企業買収の手法には賛否両論あったが、株式市場に対して一石を投じる役割を演じた。インターネット関連事業だけでなく、日本グローバル証券を買収しライブドア証券(2007年より、かざか証券、2014年内藤証券に吸収合併)とし、金融事業に参入するなど、経営者として積極的なM&A戦略を掲げ、多数の企業買収や提携を行うことで企業価値を増大させた。

 マスコミに登場するときには黒いTシャツがトレードマークで、従来の経営者像とは大きく異なる独特のキャラクターをもっている。常識にとらわれない新時代の若手経営者として注目された。しかし2006年1月、ライブドアの関連会社が虚偽の企業買収情報を開示したなどとされる事件で、財務担当取締役・関連会社社長ら3人とともに証券取引法違反(偽計取引風説流布)の容疑で逮捕された。

[中島由弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「堀江貴文」の解説

堀江貴文

実業家。株式会社ライブドアの元代表取締役社長兼CEO。愛称は「ホリエモン」。1972年10月29日、福岡県生まれ。東京大学在学中の96年、有限会社オン・ザ・エッヂを設立。2002年にインターネット関連企業の旧ライブドアから営業権を取得し、04年、ライブドアへ社名変更。M&Aを駆使して同社を急成長させた。04年、消滅危機にあったプロ野球球団・大阪近鉄バファローズの買収に名乗りを挙げ、05年にはニッポン放送の株式を取得して当時同社の子会社だったフジテレビジョンの買収を図るなど、ライブドアの名と共に堀江個人も注目を集める。05年には衆議院議員総選挙に広島6区から出馬したが落選した。06年、証券取引法違反容疑で逮捕され、ライブドアの役職を退く。刑事裁判の末、11年4月に懲役2年6カ月の実刑判決が確定。長野刑務所での服役を経て、13年3月、約7カ月の刑期を残して仮釈放された。

(2013-3-29)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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