湖水地方(読み)コスイチホウ(英語表記)Lake District

翻訳|Lake District

デジタル大辞泉 「湖水地方」の意味・読み・例文・類語

こすい‐ちほう〔‐チハウ〕【湖水地方】

Lake District》英国イングランド北西部、カンブリア地方の中心部。標高1000メートル程度のカンブリア山地に多数の湖が点在する。美しい自然景観が広がる国立公園に指定され、同国屈指の観光地域になっている。18世紀以来、ワーズワースコールリッジ湖畔詩人をはじめ多くの文人に好まれた。ポターの「ピーターラビットのおはなし」、ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」シリーズの舞台としても知られる。2017年、世界遺産文化遺産)に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湖水地方」の意味・わかりやすい解説

湖水地方
こすいちほう
Lake District

イギリス、イングランド北西部、カンブリア地方の中心部を占める地域。東西約40キロメートル、南北約50キロメートルの広さをもつ。多くの美しい湖水と山岳からなる観光地帯で、1951年に国立公園に指定された。西側はアイリッシュ海に面し、中央を南北にカンブリア山地が連なる。地方全体は、古生層に花崗岩(かこうがん)類が貫入してドーム状に隆起した山地である。第四紀に氷河が山地中央部から放射状に発達し、深いU字谷とそれぞれの谷頭部に圏谷群(コリーcorrie)が形成された。U字谷は水をたたえて湖沼群となった。氷食湖であるため、細長い形が多く水深は深く、最深部は海面下に達している。ウィンダミア湖はイングランド最大の湖で、湖水面高度39メートル、水深67メートル、最深部は海面下28メートルに達する。ほかに、バッセンスウェート、ダーウェント・ウォーター、クラモック・ウォーター、エナデール・ウォーター、サールミア、アルズウォーター、ハウズウォーター、ワスト・ウォーター、コニストン・ウォーターなど、合計15の湖がある。

 18世紀以来、その美しさが多くの文人の注目をひき、ワーズワース、コールリッジらは「湖畔詩人」とよばれるほど、この地の湖水群を愛好した。グラスミア湖畔には「鳩(はと)の家(ダブ・コテジ)」Dove Cottageとよばれるワーズワースの家が保存されている。ほかに、先史遺跡、ローマ人住居跡、古城跡などの歴史遺跡に恵まれ、イギリスを代表する観光・保養地となっている。ウィンダミア湖畔のウィンダミアやダーウェント・ウォーター湖畔のケズウィックなどがおもな保養地である。

[小池一之]

 2017年、この地域は「イギリス湖水地方」として、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録された。

[編集部 2018年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湖水地方」の意味・わかりやすい解説

湖水地方
こすいちほう

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