カンブリア山地(読み)カンブリアさんち(その他表記)Cumbrian Mountains

精選版 日本国語大辞典 「カンブリア山地」の意味・読み・例文・類語

カンブリア‐さんち【カンブリア山地】

  1. ( カンブリアはCambria ) イギリスウェールズ地方を南北に走る山地古生代カンブリア紀地層が模式的に発達し、氷河湖も多い。石炭、鉄などの地下資源が豊富。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンブリア山地」の意味・わかりやすい解説

カンブリア山地
カンブリアさんち
Cumbrian Mountains

イギリスイングランド北西部にある山地。アイリッシュ海に面するカンブリア県の大部分を占め,南東部でペナイン山脈に続く。最高峰はスコーフェルパイク山(978m)。古生代の地層を中心とし,カレドニア造山運動褶曲作用により隆起した。夾炭層(きょうたんそう。→炭層)を含み,カンブリア炭田を形成氷河作用によりできた多くの湖があり,レークディストリクト湖水地方)と呼ばれ,レークディストリクト国立公園(面積 2243km2)に指定されている。

カンブリア山地
カンブリアさんち
Cambrian Mountains

イギリス,ウェールズの大部分を占める山地。おもに下部古生層から成り,カレドニア造山運動の褶曲を受けたが,その後の浸食作用により,現在は隆起準平原となっており,最高点を示す北西部のスノードン山 (1085m) やカーネズレウェリン山 (1062m) などが残丘となってそびえる。良質の石炭,鉄を産出し,水力資源が豊富なので,イギリスの工業発展,水力供給に重要な役割を果した。山地が海に迫り平野が少く,土壌はやせているので耕作には適さず,牧畜酪農が行われている。古生代の岩石研究上重要なところで,カンブリア紀,オルドビス紀,シルル紀はいずれもこの山地の古い地方名や住民名に由来する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「カンブリア山地」の意味・わかりやすい解説

カンブリア山地 (カンブリアさんち)
Cambrian Mountains

イギリス,ウェールズ地方の山地の総称名。カンブリアはウェールズの古称。北部・中部のスノードニア山脈,バーウィン山脈などは下部古生層の砂岩,粘板岩からなり,カレドニア造山運動で褶曲山地となった。これに対してブレコン・ビーコン山地を中心とする南部は,古生代後期の旧赤色砂岩が主体で,アルモリカン造山運動の影響を受け,石炭,鉄を埋蔵している。現在はいずれも高度300~800mの隆起準平原となっているが,最高峰のスノードン山(1085m)をはじめ,残丘が各所に突出する。高原にはカール,U字谷などの氷河地形が刻まれ,牧羊・牧牛地帯となっている。古生代の最初のカンブリア紀の名称はこの山地名に由来する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンブリア山地」の意味・わかりやすい解説

カンブリア山地
かんぶりあさんち
Cumbrian Mountains

イギリス、イングランド北西部、湖水地方中央部に南北に連なる山地。古生層に花崗(かこう)岩類が貫入してドーム状に隆起した山地で、第四紀に入り氷食を受け、中央部から放射状に配列するU字谷群が形成された。氷河消失後、U字谷の多くは氷食湖となって多くの湖が出現し、湖水地方(レーク・ディストリクト)の名でよばれ、イングランドにおけるもっとも美しい山地である。最高峰はイングランド最高のスコーフェル・パイク(978メートル)で、最大の湖はウィンダミア湖である。北西部は石炭資源に恵まれ、カンバーランド炭田がある。

[小池一之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「カンブリア山地」の意味・わかりやすい解説

カンブリア山地【カンブリアさんち】

英国,イングランド北西,イーデン川によってペニン山脈と隔てられた地塊山地。カンバーランド,ウェストモアランドにまたがる。1974年,この両州を合わせマカンブリア州が成立。最高峰はスノードン山(1085m)。放射状に配列する氷食湖が発達,レーク・ディストリクト(湖水地方)と呼ばれ国立公園の指定をうけ,イングランド有数の観光地帯。
→関連項目ウェールズ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のカンブリア山地の言及

【イギリス】より

…(5)ミッドランド高地 セバーン川,トレント川水系によって浸食される丘陵地帯で,三畳紀の砂岩が中心。(6)ウェールズ山地 中部・北部を占めるカンブリア山地は古生代前期の堆積岩からなり,カレドニア造山運動による褶曲の影響を受けているが,南部はアルモリカ造山運動によって形成された東西の走行をもつ変成岩の山地である。(7)南西イングランド高地 デボン紀のケツ岩,砂岩から構成される波浪状高原が主であるが,南部にはアルモリカ造山運動による褶曲で生まれた花コウ岩山地もある。…

※「カンブリア山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android