ランサム(その他表記)Ransom, John Crowe

デジタル大辞泉 「ランサム」の意味・読み・例文・類語

ランサム(ransom)

身代金。買い戻し金。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランサム」の意味・わかりやすい解説

ランサム
Ransom, John Crowe

[生]1888.4.30. テネシー,ピュラスキ
[没]1974.7.3. オハイオ,ガンビア
アメリカの詩人批評家。テネシー州ナッシュビルのバンダービルト大学卒業後,オックスフォード大学に留学,1914~37年母校で英文学を講じた。その間詩作や批評活動を行い,22~25年,D.デービッドソン,A.テート,R.P.ウォレンらと詩誌『フュージティブ』 The Fugitiveを発行,農本主義による南部文芸復興の理論的指導者として活躍した。 37年ケニヨン大学詩学教授となり,39年『ケニヨン・レビュー』 Kenyon Review誌を創刊,59年まで編集主幹をつとめ,いわゆる新批評 (ニュー・クリティシズム) の命名者,中心人物として,批評界に大きな影響を与えた。評論に『雷なき神』 God Without Thunder (1930) ,『世界の肉体』 The World's Body (38) ,『新批評』 The New Criticism (41) ,フュージティブ・グループとの共著『わが立場』I'll Take My Stand (30) ,『批評家の意図』 The Intent of the Critic (41) など。詩集に『神について』 Poems About God (19) ,『寒気熱病』 Chills and Fever (24) ,『詩選集』 Selected Poems (45,新版 63) などがある。

ランサム
Ransome, Frederick Leslie

[生]1868.12.2. グリニッジ
[没]1935.10.6.
アメリカの地質学者。カリフォルニア大学で学び,1896年学位を取得。合衆国地質調査所に勤め (1897~1923) ,その後,アリゾナ大学 (23~27) ,カリフォルニア工科大学 (27~35) 各教授。専門は金,銅などの鉱床に関する経済地質学で,アメリカ西部の鉱山地域の研究に従事した。

ランサム
Ransome, Arthur (Mitchell)

[生]1884.1.18. リーズ
[没]1967.6.3. マンチェスター
イギリスの小説家ラグビー校に学んだ。ポーやワイルドの評伝を書いたのち,ロシア,中国などを旅行。冒険小説のほか,すぐれた児童文学の作者として知られる。主著『ツバメ号とアマゾン号』 Swallows and Amazons (1930) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランサム」の意味・わかりやすい解説

ランサム(John Crowe Ransom)
らんさむ
John Crowe Ransom
(1888―1974)

アメリカの批評家、詩人。テネシー州出身。初めて教鞭(きょうべん)をとったバンダービルト大学でフュージティブ・グループを結成し南部文芸復興の一翼を担った。1937年にはケニオン大学教授になり、『ケニオンレビュー』誌編集にもあたった。1941年の著作『ニュー・クリティシズム(新批評)』によって彼を中心とする批評運動はこの書名でよばれるようになった。『詩、その存在論的考察』(1934)では、詩は単なる感傷表現ではなく認識論的次元のなかで独自に成立すると主張し、またテクスチュア、ストラクチュアという区分を用い、その後の批評用語として定着させた。批評論集には『世界の実体』(1938)が、詩集には『神について』(1919)、『詩選集』(1945)などがある。

[森 常治]


ランサム(Arthur Ransome)
らんさむ
Arthur Ransome
(1884―1967)

イギリスの児童文学作家。評論家として出発し、『エドガー・アラン・ポー』(1910)で好評を得たが『オスカー・ワイルド』(1912)で名誉毀損(きそん)裁判に巻き込まれ、勝訴のすえこの分野を捨てロシアに赴き、昔話を研究、収集し『ピーターおじさんのロシアの昔話』(1916)にまとめた。そのかたわら新聞特派員として、第一次世界大戦、ロシア革命、干渉戦争を報道した。1929年、46歳で記者生活をやめ、心の故郷である湖沼地方を舞台にした、帆走、キャンプ、釣りなどの休暇物語『ツバメ号とアマゾン号』を執筆し翌年出版、以後『ツバメの谷』(1931)、『長い冬休み』(1933)、『ツバメ号の伝書バト』(1936、カーネギー賞)、『海へ出るつもりじゃなかった』(1937)など12巻のシリーズで、伝統的冒険精神を現実味ある物語で展開し、子供の文学のリアリズムの発展に新しい方向を示した。

[神宮輝夫]

『岩田良吉・神宮輝夫訳『アーサー・ランサム全集』全12巻(1967~68・岩波書店)』『神宮輝夫訳『アーサー・ランサム自伝』(1983・白水社)』

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百科事典マイペディア 「ランサム」の意味・わかりやすい解説

ランサム

米国の詩人,批評家。第1次大戦後に生じた〈フュージティブ(逃亡者)〉という詩人グループの中心的人物であり,《神についての詩》(1919年)などで,南部の伝統的,有機的農本主義に基づいた,形式美を目指した。批評家としては,《非難しない神》(1930年),《世界の身体》(1938年)などで,〈新しい正統主義〉の重要性を唱え,また1941年に出た《ニュー・クリティシズム》は,文学作品の自律性を主張する新しい批評運動に,その呼称を与えた。→ニュー・クリティシズム

ランサム

英国の児童文学作家,評論家。新聞記者としてロシア革命の取材などに活躍,また文芸評論も発表。さらに,《ツバメ号とアマゾン号》(1930年)をはじめとして,ウォーカー家,ブラケット家の子どもたちの休暇中の冒険物語12冊を書く。

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