出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
アメリカの批評家、詩人。テネシー州出身。初めて教鞭(きょうべん)をとったバンダービルト大学でフュージティブ・グループを結成し南部文芸復興の一翼を担った。1937年にはケニオン大学教授になり、『ケニオンレビュー』誌編集にもあたった。1941年の著作『ニュー・クリティシズム(新批評)』によって彼を中心とする批評運動はこの書名でよばれるようになった。『詩、その存在論的考察』(1934)では、詩は単なる感傷表現ではなく認識論的次元のなかで独自に成立すると主張し、またテクスチュア、ストラクチュアという区分を用い、その後の批評用語として定着させた。批評論集には『世界の実体』(1938)が、詩集には『神について』(1919)、『詩選集』(1945)などがある。
[森 常治]
イギリスの児童文学作家。評論家として出発し、『エドガー・アラン・ポー』(1910)で好評を得たが『オスカー・ワイルド』(1912)で名誉毀損(きそん)裁判に巻き込まれ、勝訴のすえこの分野を捨てロシアに赴き、昔話を研究、収集し『ピーターおじさんのロシアの昔話』(1916)にまとめた。そのかたわら新聞特派員として、第一次世界大戦、ロシア革命、干渉戦争を報道した。1929年、46歳で記者生活をやめ、心の故郷である湖沼地方を舞台にした、帆走、キャンプ、釣りなどの休暇物語『ツバメ号とアマゾン号』を執筆し翌年出版、以後『ツバメの谷』(1931)、『長い冬休み』(1933)、『ツバメ号の伝書バト』(1936、カーネギー賞)、『海へ出るつもりじゃなかった』(1937)など12巻のシリーズで、伝統的冒険精神を現実味ある物語で展開し、子供の文学のリアリズムの発展に新しい方向を示した。
[神宮輝夫]
『岩田良吉・神宮輝夫訳『アーサー・ランサム全集』全12巻(1967~68・岩波書店)』▽『神宮輝夫訳『アーサー・ランサム自伝』(1983・白水社)』
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