あなじ(読み)アナジ

デジタル大辞泉 「あなじ」の意味・読み・例文・類語

あな‐じ

西日本で、船の航行を妨げる冬の北西風。あなぜ 冬》

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あなじ」の意味・読み・例文・類語

あな‐じ

〘名〙 =あなぜ《季・冬》
※後拾遺(1086)羇旅・五三二「あなし吹く瀬戸のしほあひに舟出してはやくぞ過ぐるさやがた山を〈藤原通俊〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「あなじ」の意味・わかりやすい解説

あなじ

西日本で吹く北西の冬の季節風の局地名。語源は北西(戌亥(いぬい))の方向から吹くので、「いぬ」が転訛(てんか)して「あな」になったという説と、驚きを表す感動詞として「あな」を考える説とがある。「し」は「にし」「ひがし」の「し」と同様、風の古語である。「あなぜ」ともいう。瀬戸内では「あなじの八日吹き」というが、この季節風は吹き始めると八日も吹き続くことがあるので、このようにいわれ、漁師などは海が荒れるので警戒した。

根本順吉

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「あなじ」の意味・わかりやすい解説

あなじ

あなし,あなぜとも。主として西日本で冬の北西季節風のことをいう。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のあなじの言及

【風】より

…主として富山県以北の日本海側から津軽海峡を太平洋岸に回り込んで,岩手県あたりまで分布する。同じく北系統の〈あなじ(あなぜ)〉という風名の〈あな〉は驚きを表し,〈じ・ぜ〉は風を示す。〈たま風〉同様,悪風として恐怖感を伴う。…

※「あなじ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android