グレート・イースタン号(読み)ぐれーといーすたんごう(英語表記)Great Eastern

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレート・イースタン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・イースタン号
ぐれーといーすたんごう
Great Eastern

外輪とスクリューの両方を備えた唯一の汽船。1858年にイギリスのラッセル造船所で建造された。1万8914総トン、満載排水量2万7400トン、8300馬力、長さ207メートル、6本マストに約5400平方メートルの帆を張ることもできた。船体は10個の水密区画に分かれ、竜骨から水線までの鉄の外板は二重になっていた。主甲板も同様であった。速力約15ノット(外輪、スクリュー併用のとき)、船客定員4000人、乗組員400人。大型船のため揺れないと考えられていたが、あてはずれであり、速力も予定より出ないなどの欠点が生じた。また大型すぎて入港困難な港が多く、商業的にも失敗した。65年からケーブル船に転用され、ヨーロッパ―アメリカ間に海底電線を引くなど、この面では大きな功績をあげた。しかし1888年に解体された。本船出現後、次にこの船の長さを超す船が現れるまでに11年を要している。

[茂在寅男]

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百科事典マイペディア 「グレート・イースタン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・イースタン号【グレートイースタンごう】

1858年英国で建造された1万8915総トンの画期的大型汽船。英国のI.K.ブルネル設計蒸気機関による2個の外車と1個のプロペラ装備,また帆も備え,速力13ノット。ゴールドラッシュにわくオーストラリア航路就航のため建造されたものだが,ブームは急速に衰え経済的には失敗に終わり,1888年解体。20世紀に至るまでこれをしのぐ大型船は造られなかった。

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