グローバルニッチトップ(読み)ぐろーばるにっちとっぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グローバルニッチトップ」の意味・わかりやすい解説

グローバルニッチトップ
ぐろーばるにっちとっぷ

独自の技術や製品をもち、既存産業のすきま(ニッチ)をつく市場で高いシェアと利益を確保し、国際市場の開拓に成功している企業。和製英語で、欧文表記Global Niche Topの頭文字をとってGNT企業などとよばれることもある。もともとドイツの経営学者ハーマン・サイモンHermann Simon(1947― )が1990年代に提唱した「隠れたチャンピオン企業」(hidden champions)という概念から発展した考え方である。製造コストの安い新興国の台頭で、先進国における汎用(はんよう)品の大量生産は国際競争力を失い、先進国から新興国への生産拠点移転が続いている。しかし輸出国ドイツでは、規模は小さいものの国際市場で競争力のある製品をつくる約1300社の輸出が全輸出の5分の1を占め、この1300社が2009年までの10年間で100万人の雇用を創出した。このため比較的狭い市場に絞り、多様な顧客ニーズに徹底的に対応する多品種少量型で付加価値の高いものづくりが、先進国で注目されるようになった。グローバルニッチトップに明確な定義はないが、ハーマン・サイモンは、(1)世界シェア3位以内、(2)売上高40億ドル以下、の条件を満たす中小中堅企業などとしている。日本では、全国に分布する中小・中堅企業の振興ほか、東京一極集中の解消や地方の活性化策などとの関連から注目されるようになった。

 経済産業省は2014年(平成26)3月、グローバルニッチトップ企業の成功例を産業界で共有し中小・中堅企業の経営指針とするために、日本の中小・中堅企業100社を「グローバルニッチトップ企業100選」として選定。さらに、この100社に準じて成長が期待できる企業7社を「ネクストGNT」として選んだ。安倍晋三(あべしんぞう)政権は地方創生策の一環として、グローバルニッチトップ企業の支援策を2015年度予算に盛り込んだ。なお「グローバルニッチトップ」は日東電工株式会社の登録商標である。

[編集部 2015年4月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例