シンナー中毒(読み)しんなーちゅうどく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンナー中毒」の意味・わかりやすい解説

シンナー中毒
しんなーちゅうどく

有機溶剤シンナーthinnerの吸入による中毒ペンキワニスラッカーなどの塗料を希釈するための溶剤をシンナーといい、芳香族炭化水素、アルコール類、酢酸エステルなどの揮発性、油溶性の高いものを適宜配合してある。したがって、シンナー中毒は、配合されている溶剤によって症状が異なるが、いずれにしても有機溶剤としての毒性である中枢神経麻酔作用、末梢(まっしょう)神経障害作用、皮膚粘膜刺激作用、造血器障害作用、肝障害作用、腎(じん)障害作用のうちの一つ、あるいは二つ以上がおこる。

 なお、シンナー中毒は産業現場のほか、シンナー遊びでも生ずる。

[重田定義]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シンナー中毒」の意味・わかりやすい解説

シンナー中毒
シンナーちゅうどく
thinner poisoning

シンナーによる中毒。シンナーは塗料を薄めるため,特にラッカーの溶剤に使われる。酢酸エチル,酢酸ブチル,ブタノールトルエンなどの混合溶剤が多い。吸入により幻覚妄想,脱力感などの症状が起る。「シンナー酔い」を利用するシンナー遊びは,ことに青少年禍害として社会問題となっている。ポリエチレン袋などを頭からかぶって高濃度充満したシンナーを吸入した場合,重い中毒が発生し,死亡事故につながることが多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシンナー中毒の言及

【シンナー】より

…希釈剤は単独では溶解力がなく,単に溶液の粘度低下作用のある非溶剤である。【大藪 権昭】
[シンナー中毒]
 シンナーによる中毒は,主成分であるトルエンや酢酸エチルなどによるもので,他の有機溶剤でも同じような中毒症状を呈する。そこで,いわゆる〈シンナー中毒〉には単にシンナーによるものだけでなく,接着剤(シンナーにプラスチックを溶かしたもの),マニキュア除光液,フェルトペン,殺虫剤,各種スプレー,クリーニング液,ガソリンなどによるものも含まれる。…

※「シンナー中毒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」