酢酸とアルコールROHから生成するエステルCH3COORの総称。アセテートacetateとも呼ばれる。一般に無色,中性の液体で芳香をもち,天然植物の香気成分として存在するものが多い。エステルの一般的製法に従って,アルコールと酢酸を強酸の存在下で反応させることにより得られる。無水酢酸にアルコールを作用させても合成できる。
酢酸とエチルアルコールから得られるエステル。化学式CH3COOC2H5。パイナップルなど天然の果実油に含まれ,強い果実様の香気をもつ。沸点76.82℃の液体で,たいていの有機溶媒に溶ける。水にも可溶。香料として果汁,リキュール,菓子などに添加される。溶剤としても広く利用される。
酢酸とイソアミルアルコールとのエステル。酢酸イソペンチルともいう。化学式CH3COOCH2CH2CH(CH3)2。沸点142℃の液体で,ナシの果実香を有する。アミルアルコールまたはフーゼル油から工業的につくられる製品は,n-アミル-CH2CH2-CH2CH2CH3,イソアミル-CH2CH2CH(CH3)2,および活性アミル-CH2-CH(CH3)-CH2CH3の各異性体の混合物で,酢酸アミルamyl acetateと呼ばれ,溶剤,染色などに大量に用いられている。
酢酸とビニルアルコールとのエステル。化学式CH3COOCH=CH2。ビニルアルコールはアセトアルデヒドの互変異性体としてきわめて微量にしか存在しないため,エステルの一般的な製法を適用することができない。酢酸亜鉛を主体とする触媒を用い,酢酸を気相でアセチレンに付加させることにより工業的に合成される。パラジウム触媒により,エチレン,酢酸,酸素を反応させる製法も行われている。ポリビニルアルコールとポリ酢酸ビニル樹脂の製造原料として重要な化学製品である。
執筆者:小林 啓二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
酢酸とアルコール(あるいはフェノール)が、1分子の水がとれて縮合した形の化合物の総称。アセテート、アセタートともいう。一般式CH3COORで表される。代表的なカルボン酸エステルである酢酸エチルなどもこれに属する。一般的製法としては、硫酸、リン酸などの酸を触媒として酢酸とアルコールとを反応させる方法があり、工業的にも利用されている。この方法ではフェノールのエステルは得られないので、フェノールの酢酸エステルを合成する場合には、塩化アセチルや無水酢酸をフェノールと反応させる。
一般に芳香をもつ無色の液体。果実などに含まれているものも多い。
工業的にもっとも重要な酢酸エステルは酢酸ビニルで、エチレンと酸素と酢酸をパラジウム触媒を用いて気相で反応させてつくっている。このほかでは、酢酸エチルや酢酸ブチルの生産量が多く、溶剤などに使われている。多価アルコールのエステルとしてとくに重要なのはセルロースの酢酸エステルで、アセチルセルロースともよばれ、プラスチック、ラッカー、不燃性フィルムなどの広い用途をもっている。
[廣田 穰]
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