ハン(漢)江(読み)ハンこう(英語表記)Han-gang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハン(漢)江」の意味・わかりやすい解説

ハン(漢)江
ハンこう
Han-gang

韓国の北西部を流れる川。全長は 514kmで朝鮮半島で4位であるが,流域面積は2万 6000km2で,アムロク (鴨緑) 江に次いで広い。上流はプクハン (北漢) 江とナムハン (南漢) 江で,ともにテベク (太白) 山脈を源流域とする。プクハン江はクムガン (金剛) 山に源を発し,ソラク (雪岳) 山やオデ (五台) 山北斜面の水を集めたソヤン (昭陽) 江を合せて南西流する。ナムハン江はオデ山の南斜面に源を発し,テベク山,ソベク (小白) 山などの水を集め,チャリョン (車嶺) 山脈を横断して北東流する。両江はソウル市東方で合流して,ソウル市街地の中央部を流れ,北東に向きを変えてイムジン (臨津) 江を合せ,カンファ (江華) 島の北でキョンギ (京畿) 湾に入る。中流からは準平原の農業地域を流れ,下流のキンポ (金浦) 平野はキョンギ道の穀倉地帯である。流域は古くは百済の中心地で,ソウル南東郊のキョンアン (京安) 里はクアンジュ (広州) と呼ばれて初期の国都であった。ソウルも水運の便がよい要害の地として,李氏朝鮮の国都に選ばれた。沿岸には河港が発達していたが,河口が休戦ラインにあたるため,利用は限られている。プクハン江には水力発電所が多く,ファチョン (華川) ダムによるパロ (破虜) 湖,ソヤン (昭陽) ダムによるソヤン湖,ウイアム (衣岩) ダムによるチュンチョン (春川) 湖などの大規模な人造湖がある。

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