河港(読み)カコウ

デジタル大辞泉 「河港」の意味・読み・例文・類語

か‐こう〔‐カウ〕【河港】

河口または河岸に造られた港。
[類語]港湾波止場はとば船着き場船泊まり桟橋埠頭ふとう岸壁がんぺき築港海港商港漁港軍港ハーバーポート

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精選版 日本国語大辞典 「河港」の意味・読み・例文・類語

か‐こう‥カウ【河港】

  1. 〘 名詞 〙 河口や河岸にある港。河津(かしん)
    1. [初出の実例]「大蔵省に於て河港道路修築規則を頒布す」(出典:地方官会議日誌‐九・明治八年(1875)七月二日)

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改訂新版 世界大百科事典 「河港」の意味・わかりやすい解説

河港 (かこう)
river port

河川沿岸に位置し,もっぱら内陸水路の交通にかかわる港。たとえ内陸の川のほとりにあっても,ロンドン,武漢モントリオールなどのように海外の港と海上航路で結ばれているものは港湾seaportであって,河港とは呼ばれない。明治期以前の日本では河川が重要な輸送路になり,奥地からは米や薪炭などが平底の小さい川船で下航し,海岸からは塩や塩乾魚などが上航していた。各河川沿岸には多数の船着場が散在し河岸(かし)と呼ばれていたが,流域が狭く河谷勾配の急な河川には大型の川船を通すものがなく,河港の荷役量はいずれもわずかであった。例外的に発展したのは近世の伏見港で,淀川航路によって大坂との間に貨物旅客がさかんに往来し,明治期には小汽船がこの航路に導入された。しかし日本のすべての河港はすでに消滅してしまった。水量の豊かな河川が緩やかに流れる中国やヨーロッパでは古くから河川水運がさかんで,沿岸に発展した多くの河港が地方の産業や文化の中心になった。新大陸では16世紀以降ヨーロッパ諸国の植民が進むにつれて多くの河港が発生した。現代の西欧,ロシア,アングロ・アメリカには,穀物,工業原材料,土建資材の発着によって大きな荷役量をもつ河港が多く,バーゼルやプラハのようにヨーロッパ大陸中央部にもその例がある。旧ソ連にはウクライナキエフ,ロシアのモスクワ,ニジニ・ノブゴロド(旧名ゴーリキー)のように歴史の古い河港があるが,シベリアでは横断鉄道の開通するまで,チュメニトボリスクトムスクなどの河港が東西横断交通の関門であった。合衆国では広い流域面積をもつミシシッピ川水系の沿岸に,セント・ルイス,ピッツバーグなどの河港が現在も大きな発着量をもっている。中国では長江(揚子江)水系の沿岸に重慶や長沙をはじめ歴史の古い河港が密に分布していて,上海や武漢のような港湾との間に貨物の流動がさかんである。
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世界大百科事典(旧版)内の河港の言及

【港湾】より


[埋立港と掘込港]
 河川の水路を利用して港をつくることは,古来から東西を問わず活発に行われてきた。欧米諸国では,ニューヨーク港,ロンドン港,アムステルダム港など,現在でも河川に面してつくられた港(河川港,河港という)が近代港湾として利用されている例が多いが,水深の深い大河もなく,また急流の多い日本の場合,河川港は近代港湾としては利用されなくなってきている。これに対し,河口は河川の利用による水運の便がよいほか水面も広く,また平地に恵まれて背後地も大きいため,日本でも古来から多くの港がつくられ,近代港湾へ発達していったものも多い。…

※「河港」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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