フィッシャー(Ronald Aylmer Fisher)(読み)ふぃっしゃー(英語表記)Ronald Aylmer Fisher

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フィッシャー(Ronald Aylmer Fisher)
ふぃっしゃー
Ronald Aylmer Fisher
(1890―1962)

イギリスの統計学者。ロンドン郊外に生まれる。ケンブリッジ大学で学び、数学および物理学(とくに統計力学量子論)を専攻。卒業後、会社勤務、学校教師を経て、ロンドン郊外のロザムステッド農事試験場に統計家として勤務し、研究に従事。そこでの研究活動により、実験計画法を創案し、推測統計学の基礎を築いた。1929年には王立協会会員となり、その後、1933年に記述統計学の導入者であるK・ピアソンの後を継いでロンドン大学の教授となり、さらに1943年には母校ケンブリッジ大学の教授となった。

 彼の最大の業績は、それまでのピアソン流の記述統計学を改革し、統計母集団のもつ特性を、それから抽出したいくつかの標本に基づいて推計し、あるいはその特性に関する仮説を検定する推測統計学の基礎を確立したことである。その推定論、仮説検定論は、その後、J・ネイマン、ピアソンEgon Sharpe Pearson(1895―1980)(K・ピアソンの子)、A・ワルドらによって発展させられたが、とくに前二者との間では、推論方式に関しての論争が有名である。

高島 忠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例