上絵付(読み)うわえづけ

精選版 日本国語大辞典 「上絵付」の意味・読み・例文・類語

うわえ‐づけ うはヱ‥【上絵付】

〘名〙 陶磁器の製作工程の一つ。表面に釉(うわぐすり)をかけて高温で焼き、その上に、赤、緑、黄、紫などの彩色料で絵や模様を描いたのち錦窯(きんがま)に入れて低温で焼くこと。日本ではこの類を錦手(にしきで)または色絵と呼び、中国では五彩という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上絵付」の意味・わかりやすい解説

上絵付
うわえつけ

陶磁器の技術用語の一つで、色絵陶磁(赤絵、錦手(にしきで)、五彩ともいう)をつくる色絵の具を釉(ゆう)面に描く工程をさす。一種鉛釉(えんゆう)である色絵の具を、透明釉の施された素地の上に絵筆を使ってのせるため上絵付の名がある。上絵付用には各種の筆が使われるが、線描(が)きの細い筆と、色面を塗りつめる濃染の太い筆とに大別される。この上絵付は色絵の発祥とともに中国で金(きん)時代に始められたが、現代中国の上絵付技と日本の技法とは細部ではまったく様相が相違してしまっている。

[矢部良明]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「上絵付」の解説

上絵付
うわえつけ

絵付(えつけ)

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世界大百科事典(旧版)内の上絵付の言及

【赤絵】より

…赤を主調とするところから日本でとくに赤絵と総称され,また色絵とも呼ばれ,中国では五彩と呼んでいる。また釉の上に着彩されるところから上絵(うわえ)とか上絵付とも呼ばれる。赤絵は上絵付ものの一種であるが,着彩にはさまざまな中間色を含む色彩を表し,明治以後西欧から輸入され,日本でも改良普及した西洋絵具と和釉(わぐすり)と呼ぶ伝統的な絵釉とが使われる。…

【陶磁器】より

…明代後期の嘉靖・万暦期(1522‐1619)に景徳鎮窯の生産は頂点を迎え,御器廠への生産注文は激増し,御器廠では一部を民窯に委託するという〈官塔民焼の制〉が一般化した。この結果,御器廠は一時期,上絵付だけを行う錦窯だけになったことがあるといわれ,やがて御器廠の衰退を招くことになった。逆に景徳鎮では民窯が活発に磁器焼造を行うことになり,古染付,祥瑞(しよんずい),南京赤絵など日本に将来された茶陶をも大量に生産している。…

※「上絵付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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