久保寺逸彦(読み)くぼでらいつひこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「久保寺逸彦」の意味・わかりやすい解説

久保寺逸彦
くぼでらいつひこ
(1902―1971)

アイヌ文学者。北海道雄武(おうむ)に生まれる。国学院大学在学中から金田一京助に師事して、アイヌ語についての個人的な教えを受けた。のち東京学芸大学、駒沢(こまざわ)大学教授。文学博士。大正時代から北海道を旅行し、また自宅にアイヌ古老を招きアイヌ文学の採録を続け、その集めえた詩編の数は師金田一をしのぐものがあるといわれる。アイヌ文化根底が宗教生活にあることを早くから知り、その方面への研究に特色があったが、多くは未発表のままで没した。没後刊行された『アイヌ叙事詩 神謡・聖伝の研究』(1977・岩波書店)には、そのうち126編があり、アイヌ語・アイヌ文化研究者の必読書となった。『アイヌの文学』は入門書として好著である。

[山田秀三]

『『アイヌの文学』(岩波新書)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「久保寺逸彦」の解説

久保寺逸彦 くぼでら-いつひこ

1902-1971 昭和時代の民族学者,言語学者。
明治35年9月10日生まれ。昭和22年東京学芸大教授,41年駒沢大教授。終生金田一京助に師事してアイヌ語やアイヌ文化の研究をつづけ,カムイ-ユーカラ(神謡)や宗教儀礼,言語に関する記録をのこした。昭和46年11月5日死去。69歳。北海道出身。国学院大卒。著作に「アイヌ叙事詩―神謡・聖伝の研究」「アイヌの文学」。

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