価格表示(読み)かかくひょうじ

改訂新版 世界大百科事典 「価格表示」の意味・わかりやすい解説

価格表示 (かかくひょうじ)

現代の,少なくとも先進的な市場経済社会においては,一般消費者を相手とする販売業者が,自己の販売する商品やサービスの価格を広告や値札で表示し,消費者はこの価格表示を手引きとして購買意思決定を行う,という習慣が確立している。このことは,ますます多種大量となってゆく商品・サービスの売買を迅速円滑に行う必要から必然的に生じた帰結であるが,この習慣を悪用して消費者の利益をそこなうような不当な価格表示が行われる場合も少なくなく,これを規制することが今日の消費者保護政策の重要な課題となっている。日本では,不当価格表示の規制は主として,〈不当景品類及び不当表示防止法〉(1962公布。略称景表法)にもとづき公正取引委員会によって行われているが,同委員会が定めた運用基準から不当価格表示の具体例をみると,〈A円の商品をB円で〉として,A円(比較対照価格)に架空の高い数字を示しB円(実売価格)を実際より安く見せかける方法や,比較対照価格とされるメーカーの希望小売価格そのものが意図的に高く決められているといった不当な二重価格表示,実際には売っていない安い商品を広告するおとり表示,事実に反して出血価格などの表現を用いる場合,などがある。このほか近年においては,消費者の価格比較を容易にするための単位価格表示が主として条例により促進されており,また,特定分野で価格表示を義務づける法律もつくられている(〈割賦販売法〉〈訪問販売等に関する法律〉など)。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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