地下核兵器実験制限条約(読み)ちかかくへいきじっけんせいげんじょうやく(英語表記)Treaty between the United States of America and the Union of Soviet Socialist Republics on the Limitation of Underground Nuclear Weapon Tests; TTBT

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地下核兵器実験制限条約」の意味・わかりやすい解説

地下核兵器実験制限条約
ちかかくへいきじっけんせいげんじょうやく
Treaty between the United States of America and the Union of Soviet Socialist Republics on the Limitation of Underground Nuclear Weapon Tests; TTBT

1974年7月3日にモスクワでアメリカのニクソン大統領とソ連のブレジネフ共産党書記長が調印した条約。 76年3月末以降,150ktをこえる爆発力の地下核兵器実験を行わないことなどを決めた条約で,前文と本文5ヵ条,および議定書から成る。有効期間は5年であるが,延長は可能である。平和目的の地下核爆発は,別に 76年5月,米ソ間で平和目的地下核爆発制限条約として実現した。地下核兵器実験制限条約は,1963年の部分的核兵器実験禁止条約 (地下以外の環境での実験禁止) 以後懸案となっていた地下核実験の禁止について部分的に実現した最初の取決めであるが,イギリス,フランス,中国という3核大国は参加していない。また,米ソは 150ktをこえる大きな威力核実験を行うことできなくなったが,一般的にミサイル核弾頭は小型・精巧化の傾向にあり,150kt以下の核実験は,その後も相当実施された。この条約は効果的な検証措置をめぐる米ソの意見対立のため長く批准されず,ようやく 92年 12月に発効した。

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世界大百科事典(旧版)内の地下核兵器実験制限条約の言及

【核実験】より

…そのような口実を与えないために,スウェーデンが技術的検討を提唱し,65年〈核実験探知クラブ〉(地震学的データ交換会議)が設けられ,68年には非政府代表の専門家会議が開かれ,マグニチュード4.75以上の地下実験は探知・識別が可能という結論を出した。 これを受け,スウェーデンなどが各種の実験制限・禁止案を提案したが,部分的核実験停止条約調印後およそ10年目に米ソが合意したのは〈地下核兵器実験制限条約〉(TTBT,1974年7月3日調印)と〈平和目的地下核爆発制限条約〉(PNET,1976年5月28日調印)であった。前者は爆発威力150kt以上の地下実験を禁止し,後者は平和目的という名目による同規模以上の核爆発を禁止している。…

※「地下核兵器実験制限条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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