木霊・木魂・谺(読み)こだま

精選版 日本国語大辞典 「木霊・木魂・谺」の意味・読み・例文・類語

こ‐だま【木霊・木魂・谺】

〘名〙 (古くは「こたま」。木の霊の意)
樹木にやどる精霊木精。山の神。
※延喜式(927)三「造遣唐使船木霊并山神祭」
※読本・雨月物語(1776)浅茅が宿「一旦樹神(コタマ)などいふおそろしき鬼の栖所となりたりしを」
② (━する) (音声が山に当たって反響するのを山の霊が答えるものと考えたところから) 声や音が山などに反響してかえってくること。また、そのかえってくる声や音。山びこ。
※賀茂女集(993‐998頃)「ふすとおくとおもへはこふるなげきにはこたまいでくるものにぞ有ける」
日葡辞書(1603‐04)「Cotama(コタマ)。すなわち、ヤマビコ」
歌舞伎囃子(はやし)の一つ。小鼓二丁を、一人は下座、一人は上手舞台裏にわかれ、響き合うように打ち合うもの。下手を「シン」、上手を「ウケ」といい、深山幽谷などの雰囲気を出す効果に用いる。
※歌舞伎・法懸松成田利剣(1823)四立「浄瑠璃切れると、直ぐに谺(コダマ)、浪の音にて、仙人、立って」
[語誌](1)同類の葉守りの神が善神であるのに対し、①は、古く「魅」「魍」の字が当てられ、人間にたたりをなす妖怪変化の類、狐や天狗同列ないしはそのものと思われていた。
(2)②も、山に住む妖怪が返事するものと考えたところにその起源をもつ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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