池谷=関彗星(読み)いけやせきすいせい(英語表記)Comet Ikeya-Seki

改訂新版 世界大百科事典 「池谷=関彗星」の意味・わかりやすい解説

池谷=関彗星 (いけやせきすいせい)
Comet Ikeya-Seki

1965年9月19日早朝,静岡の池谷薫(1943- ),高知関勉(1930- )がうみへび座で発見した光度7等の新すい星。同年10月21日,太陽の表面からわずか13万kmのところを通過し,核が数個に分裂するのが乗鞍コロナ観測所コロナグラフにより観測された。その後,明け方の東天に長さ30度の尾をなびかせて現れ,初めて赤外線による観測が行われるなど,すい星天文学の発展に寄与した。このすい星とほとんど同じ軌道をもったすい星が,1843年,80年,82年,87年,1945年,65年などに出現していて,太陽をかすめるすい星群Sun Grazing Comet Groupと呼ばれている。大昔,一大すい星が太陽に接近して分裂し,その後,太陽に近づくたびに分裂を繰り返して数が増えたものと考えられる。1979年,80年には,人工衛星に搭載したコロナグラフがこの群のすい星を発見している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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