出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
肥大して、柔組織中に養分を多量に貯蔵した根をいう。養分は糖質が主で、たいていはデンプンがデンプン粒として蓄えられる。ダリアやキキョウではイヌリンを含む。貯蔵根の形はさまざまで、サツマイモやダリアのように紡錘形(いわゆるいも状)のものは、とくに塊根という。ダイコン、ニンジン、ゴボウなどは円錐(えんすい)形、カブやサトウダイコンなどは球形となる。このほか、貯蔵根を形成する植物としてはヤマゴボウ、オシロイバナ、トリカブト、カラスウリなどがある。貯蔵根の形成過程は一様ではなく、根だけから形成されるもの、胚軸(はいじく)と根とからなるもの、さらに胚軸と根に茎も加わるものがある。肥大の仕方は、ニンジンのように通常の維管束形成層の活動による場合が多く、木部や篩部(しぶ)はほとんど柔組織で占められる。しかし、サトウダイコン、サツマイモ、カブ、ダイコンなどでは特殊な形成層が現れ、いわゆる異常肥大を行う。
[西野栄正]
…根には柔組織が比較的よく発達しているが,その細胞にデンプンが貯蔵されていることが多い。養分の貯蔵が異常に発達したものが貯蔵根storage rootで,アブラナ科のものでは胚軸と主根の基部がよく発達するし,サツマイモでは根(塊根tuber)そのものが肥大している。根が地上に現れたものを気根といい,通気のはたらきをするものもある。…
※「貯蔵根」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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