赤漆(読み)セキシツ

デジタル大辞泉 「赤漆」の意味・読み・例文・類語

せき‐しつ【赤漆】

漆工芸で、木地蘇芳すおうで染めてから透明な漆を塗る技法。また、その漆器後世春慶塗と同系統の技法で、木目の美しさをみせるもの。奈良・平安時代に流行した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「赤漆」の意味・読み・例文・類語

せき‐しつ【赤漆】

〘名〙 漆芸の塗りの一種。木地を蘇芳(すおう)で染め、透漆を塗って木目の美しさを見せる塗り方。またはその漆器。奈良・平安時代に盛んに行なわれた。近世に始まる春慶塗と同系統の技法。
正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・太上天皇捨国家珍宝等入東大寺願文「厨子壱口 赤漆文槻木、古様作、金銅作鉸具」

あか‐うるし【赤漆】

〘名〙 赤色の漆。彩漆(いろうるし)の一種で、朱や弁柄(べんがら)を混ぜた漆。朱漆(しゅうるし)。〔尺素往来(1439‐64)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の赤漆の言及

【正倉院】より

…おもな遺品には金銀山水八卦背八角鏡,銀壺,銀薫炉,金銀花盤などがある。(2)漆工 漆に掃墨を入れた黒漆塗,蘇芳(すおう)で赤く染めた上に生漆を塗った赤漆(せきしつ),布裂を漆で塗りかためて成形した乾漆,皮を箱型に成形して漆でかためた漆皮(しつぴ),漆の上に金粉を蒔(ま)いて文様を表した末金鏤(まつきんる),金銀の薄板を文様に截(き)って胎の表面にはり,漆を塗ったあと文様を研いだり削ったりして出す平脱(へいだつ)(平文(ひようもん)),顔料で線描絵を施した密陀絵(みつだえ)などの技法が用いられた。遺品には漆胡瓶(しつこへい),金銀平脱皮箱,金銀平文琴,赤漆櫃,密陀絵盆などがある。…

※「赤漆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android