地下家伝(読み)じげかでん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地下家伝」の意味・わかりやすい解説

地下家伝
じげかでん

六位以下の下級官人,地下 (じげ) の者の家伝 (家督を継いだ者の出自経歴) を集めたもの。写本 33冊。三上景文 (1789~?) の編。地下の家伝を中心に,親王家や五摂家をはじめとする公家衆,諸門跡家の諸大夫侍,東西両本願寺,仏光寺の坊官や院家候人の家伝と,三上家の家伝を収めている。付録に家伝調査の沿革と諸家格式を載せる。天保 13 (1842) 年から編集を始め同 15年に完成。集めた家伝は,文化初年 (04~05) 頃すでにそれぞれの家から書出されていた家伝を利用したものらしい。律令体制崩壊後の下級官人の官歴を調査することは,今日では不可能に近いことから貴重な史料となっている。『日本古典全集』所収。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地下家伝」の意味・わかりやすい解説

地下家伝
じげかでん

新清和院(しんせいわいん)(光格(こうかく)天皇中宮)北面の侍、三上景文(みかみかげふみ)の編纂(へんさん)になる地下の家譜集成。33巻。1842年(天保13)9月に着手し、44年5月に完成。巻1の六位蔵人(くろうど)から始まり、巻20までが六位の地下官人の、巻21より巻32までが諸公家(くげ)、四親王家、諸門跡(もんぜき)などの諸大夫(しょたいふ)・侍(さむらい)・坊官候人(こうにん)の略歴を家ごとに掲げてあり、最終巻に編者の秦(はた)氏三上氏の家譜を載せる。書き継ぎされて、安政(あんせい)年間(1854~60)に及ぶ。刊本は『日本古典全集』(第6期)に収録。

[橋本政宣]

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世界大百科事典(旧版)内の地下家伝の言及

【系図】より

…洞院家数代をはじめ重訂増補を経て後世に伝写され,巻数順序も不同であるが,皇別(源平橘),神別(藤原氏を中心に),その他諸蕃として出自によって分類されており,後世の系図編纂に多大の影響を与えている。
[近世以降の系図編纂]
 近世に成立した公家系図には,《諸家伝》(《日本古典全集》所収),《増補諸家知譜拙記》(1838年まで),《地下家伝》(1844年,三上景文編集,《日本古典全集》所収)等がある。武家系図では,江戸幕府が諸大名,旗本に命じた家譜の書上げを集大成した幕府官撰の《寛永諸家系図伝》(漢文,和文の2種)がある。…

※「地下家伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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