短時間で局地的に激しく降る雨のことを指す呼称。正式な気象用語ではない。現状では予測が難しい。気象庁は、急に強く降り、数十分程度で狭い範囲に数十ミリ程度の雨量をもたらす雨を「局地的な大雨」と定義しており、単独の積乱雲でも引き起こされる。一つの積乱雲が発生してから雨を降らせ、消滅するまでの時間は数十分程度とされるが、同じ場所で積乱雲が次々と発生と発達を繰り返すと集中豪雨になる。
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突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中豪雨に比べると、ゲリラ豪雨は事前に予測することがむずかしい。豪雨で都市の中小河川が急に増水して洪水や浸水をもたらしたり、崖(がけ)崩れや土石流などの災害の発生するようすが、小部隊で奇襲をかけ夜襲や待ち伏せなどによる変則的な戦闘を主とするゲリラに似ていることから、気象界では1960年代からゲリラ豪雨という呼称が使われていた。ゲリラ豪雨は、新しい積乱雲が次々に派生的に群発しているようなときに降る。積乱雲は地面付近の気温が上昇して上空に寒気が流れ込むと発生しやすいが、都市のヒートアイランド現象や高層ビル群による風向きの変化がゲリラ豪雨をおこりやすくしているという研究もある。ゲリラ豪雨のほかにゲリラ雷雨やゲリラ雪という呼称もある。なお、ゲリラ豪雨という用語についての学術的な定義はなく、気象庁はゲリラ豪雨を予報用語としては使っていない。
[青木 孝]
『宮澤清治著『近・現代日本気象災害史』(1999・イカロス出版)』▽『武田喬男著『雨の科学――雲をつかむ話』(2005・成山堂書店)』▽『三上岳彦著『都市型集中豪雨はなぜ起こる?』(2008・技術評論社)』▽『牛山素行著『豪雨の災害情報学』(2008・古今書院)』▽『倉嶋厚著『日本の空をみつめて』(2009・岩波書店)』
(桑野優子 フリーライター / 2008年)
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