「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

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「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

沖ノ島では4~9世紀、朝鮮半島や中国との外交の成功や航海の安全を願って国家的祭祀(さいし)が行われた。祭祀跡からは8万点にのぼる国宝が出土。古代信仰の姿を伝えるとともに、東アジアとの交流があったことを物語る。沖ノ島以外の構成資産は、大島の中津宮や本土の辺津宮(宗像大社)、新原・奴山古墳群など。15日の閣議でユネスコへの推薦が正式に決まった。

(2016-01-18 朝日新聞 朝刊 福岡・1地方)

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知恵蔵の解説

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

福岡県の沖合、玄界灘に浮かぶ沖ノ島を中心とした遺跡群。八つの資産がユネスコの世界文化遺産に登録されている。2017年登録、国内の世界遺産としては21件目。8資産の構成は、(1)沖約60キロメートルの沖ノ島(宗像大社沖津宮)とその周辺の小屋島(こやじま)・御門柱(みかどばしら)・天狗岩(てんぐいわ)の三つの岩礁の4資産、(2)沖約11キロメートルの大島にある中津宮と沖津宮遥拝(ようはい)所の2資産、(3)九州本島にある宗像大社辺津宮(へつみや)と新原・奴山(しんばる・ぬやま)古墳群の2資産。
当初、ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)は、沖ノ島を中心とする4資産の文化的価値は認めていたが、他は物証・史料に欠けるとして除外するよう勧告していた。しかし、ひとまとまりで宗教的な価値があるという日本側の主張を受け入れ、8資産全てを一括登録することになった。
(1)の沖ノ島(宗像市)は、古代から神の島として信仰されてきた。海上交通の守護神をまつる宗像大社沖津宮のほか、4~9世紀の大和政権期の祭祀(さいし)跡も手つかずの状態で残されている。また、土器、鉄器、勾玉、指輪など多くの奉献品が出土しており、そのうち約8万点が国宝に指定されている。西アジアや中国、朝鮮から伝わった遺物も多く含まれていることから、「海の正倉院」とも称されている。ただし、島全体が御神体と見なされているため、女人禁制で、一般男性の上陸も年に1度(約200人)と限られていた。登録後は、遺産の保全を強く求めるユネスコの追加勧告もあり、男女を問わず一般人の立ち入りは全面的に禁止されている。
(2)の中津宮は、大島(宗像市)における信仰の中心。沖津宮遥拝所は、沖ノ島を遠くから拝むための遥拝所。大島へは以前から女性を含む一般人の上陸が認められている。(3)の宗像大社辺津宮(宗像市)は、本土における信仰の中心。新原・奴山古墳群(福津市)は、沖ノ島の祭祀を担った豪族・宗像氏が5~6世紀に築いたとされる古墳群。

(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)

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