アイゼンシュタット(読み)あいぜんしゅたっと(英語表記)Shmuel Noah Eisenstadt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイゼンシュタット」の意味・わかりやすい解説

アイゼンシュタット(Shmuel Noah Eisenstadt)
あいぜんしゅたっと
Shmuel Noah Eisenstadt
(1923―2010)

イスラエルの社会学者。ポーランドワルシャワ生まれ。エルサレムヘブライ大学卒業後、ロンドン大学留学。社会学で博士号を取得し、1949年ヘブライ大学講師、1959年教授となり、1990年以降は同大学名誉教授。ハーバード大学などイギリス、アメリカ、スイスノルウェーの諸大学でたびたび客員教授を務め、国際的評価が高かった。アメリカのスタンフォード大学行動科学高等研究所研究員、オランダ人文・社会科学高等研究所研究員、イスラエル科学アカデミー会員、アメリカ人文・社会科学アカデミー会員、アメリカ哲学会会員、ロンドン大学政経学部名誉評議員、スイス国際問題研究協会評議員。また、アメリカ社会学会マッキーバー賞、社会科学ロスチャイルド賞、社会科学カプラン賞、社会科学イスラエル賞などを受賞している。業績は政治社会学、とくに政治体系の比較分析、政治的近代化リーダーシップとエリート選抜、官僚制、社会変動論、世代論、青年文化、移民階層文明論など多方面に及び、主著に『世代から世代へ』(1956)、『近代化の政治社会学』(1967)、『革命と社会変動』(1978)、『比較的視点からみたヨーロッパ文明』(1982。邦題『文明としてのヨーロッパ』)などがある。また『日本の文明』(1996。邦題『日本比較文明論的考察』)を著すなど日本への造詣(ぞうけい)も深かった。

[高島昌二]

『萩原宜之他訳『近代化の政治社会学』(1968・みすず書房)』『丹下隆一・長田攻一訳『社会分化と成層』(1982・早稲田大学出版部)』『内山秀夫訳『人間科学叢書17 文明としてのヨーロッパ――伝統と革命』(1991・刀水書房)』『梅津順一他訳『文明形成の比較社会学』(1991・未来社)』『梅津順一・柏岡富英訳『日本比較文明論的考察』1~3(2004、2006、2010・岩波書店)』『S. N. EisenstadtFundamentalism, Sectarianism, and Revolution : The Jacobin Dimension of Modernity(1999, Cambridge University Press, Cambridge)』


アイゼンシュタット(オーストリア)
あいぜんしゅたっと
Eisenstadt

オーストリア東部、ブルゲンラント州の州都。人口1万1334(2001)。ライタ山地の南麓(なんろく)に位置する。付近ではブドウ栽培が行われ、ぶどう酒の醸造業がある。いまなおエステルハージ侯時代の雰囲気を残す小都市である。1491年にオーストリア領、1647年にハンガリー領、1921年に再度オーストリア領となり、現在に至る。ハイドンが宮廷楽長として暮らし、幾多の作品を残した町でもある。バロック様式エステルハージ城のハイドン広間では、1947年以来毎年ブルゲンラント音楽祭が開かれる。

[前島郁雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイゼンシュタット」の意味・わかりやすい解説

アイゼンシュタット
Eisenstadt

オーストリア東部,ブルゲンラント州の州都。ウィーン東南東約 40km,ハンガリーとの国境近くに位置する。ブドウ畑におおわれた山の斜面を占め,ワイン取引の中心地。作曲家ハイドンが 1761~90年この地に住み,多くの作品を残した。ハイドンの家は現在,博物館になっている。 17世紀のエステルハージ城も残る。繊維,スキー用品などの工業が立地。人口1万 349 (1991) 。

アイゼンシュタット
Eisenstadt, Samuel Noah

[生]1923.9.10. ワルシャワ
ポーランド生れのイスラエルの社会学者,政治学者。 1944年エルサレムのヘブライ大学を卒業,59年に同大学教授になる。 64年マッキーバー賞受賞。主著に『近代化の挫折』 Modernization: Protest and Change (1966) がある。

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