学校において定められた教育課程のすべてを修了すること。学校教育法施行規則は,卒業に関して次のように定めている。小(中・高等)学校において,〈卒業を認めるに当っては,児童(生徒)の成績を評価して,これを定めなければならない〉〈校長は,小(中・高等)学校の全課程を修了したと認めた者には,卒業証書を授与しなければならない〉。ただし,高等学校の場合は,〈高等学校学習指導要領の定めるところにより,80単位以上を修得した者〉という卒業認定にあたっての最低修得単位数が示されている。大学の場合は〈卒業は,教授会の議を経て,学長がこれを定める〉と規定されているが,大学設置基準において,4年以上在学し,124単位以上を修得することが卒業の要件とされている。小・中・高等学校の場合,校長が卒業認定権限を有するかのごとく規定されているが,これは,職員会議における教職員集団による教育専門職的議決結果を対外的に表示する権限であると考えられる。卒業によって在学関係は終了するが,同時に上級学校への進学資格を有することになる。ただし,卒業認定が行われない場合には,原級留置きとなる。中学校の卒業は,保護者の就学義務が終了することをも意味する。卒業の時期は,一般卒業証書の日付と考えられているが,日本の場合,学年が4月1日に始まり,翌年3月31日に終わることとされているので,学籍簿には3月31日と記入することになっている。
執筆者:浪本 勝年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
学士課程または準学士課程を終えることを指す。大学院段階の各課程を終える際には「修了」の語が使われる。学士課程の多くの分野では卒業に必要な年限は4年だが,医学・歯学・薬学・獣医学など一部の分野では6年の在学が必要とされる。4年課程の場合,大学設置基準によって124単位以上の修得が定められている。短期大学の2年課程の場合は62単位以上の修得が要求される(短期大学設置基準)。学士課程の6年課程,短期大学の3年課程では年限に応じて相応の量の単位の修得が求められる。大学や学部・学科によっては,卒業要件として卒業論文,卒業研究,プロジェクトへの参加などを課す場合がある。日本では大学卒業後,間を置かずに就職あるいは進学することが一般的であり,空白の期間を置くことにはマイナスのイメージを持たれがちである。そうしたこともあって,就職に際しては一般的に新規卒業者が有利であり,就職活動の結果によっては故意に卒業を遅らせる学生も少なくない。
著者: 福留東土
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
字通「卒」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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