改訂新版 世界大百科事典 「アウエーゾフ」の意味・わかりやすい解説
アウエーゾフ
Mukhtar Omarkhanovich Auezov
生没年:1897-1961
ソ連邦カザフ共和国の作家,文芸学者。遊牧民の出身。1917年の戯曲《エンリキ・ケベク》(1957改訂)が処女作。20-30年代には帝政ロシアの支配下にあった民族の過去,その解放の過程に取材した作品が多く,ときに〈民族主義的偏向〉を公式筋から批判された。民間伝承に関する研究論文やゴーゴリの《検察官》,シェークスピアの《オセロ》などの翻訳もある。代表作は,19世紀カザフの民族詩人,啓蒙家アバイ・クナンバーエフAbai Kunanbaevの生涯を描いた《アバイ》(1947),《アバイの道》(1956)の二部作で,これはカザフ文学最初の本格的な叙事詩的長編小説として59年のレーニン文学賞を受け,30ヵ国語に翻訳されている。
執筆者:江川 卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報