翻訳|Kazakh
アルタイ語、チュルク語派に分類されるカザフ語を言語とする中央アジアの民族。中国では哈克族と記される。カザフスタンに約707万人(1992)、中国領には新疆(しんきょう/シンチヤン)ウイグル自治区イリ・カザフ自治州を中心に約110万人余り(1990)が居住する。ウズベキスタン、ロシア、モンゴル各地にも居住し、全体で1000万人ほどの人口となる。その名称が最初に登場するのは、15世紀なかばで、キプチャク・ハン国内からウズベク勢力に押されて東進した遊牧集団が「カザフ」とよばれた。その後、ウズベクやモンゴル系の人々などを一部吸収しつつ、その集団は拡大し、16世紀前半にカスピ海北西岸からバルハシ湖に至る勢力として、カイシム・ハンの下に繁栄した。しかし、17世紀に大、中、小の三つのジュズ(国家的集団)に分裂し、18世紀には清(しん)朝やロシアの支配下に入ることになった。ロシアなどでは1925年まで誤って「キルギス」とよばれていた。
[横山廣子]
元来は牧草地を求めてテント生活を送る遊牧民であり、冬期に一定の牧地にとどまって村落を形成する以外は、父系親族を中心とする数家族が一団をなし、ヒツジ、牛、馬、ラクダなどとともに移動した。家族内では男性家長の権限が強かった。17世紀にはすでに、村落の統率者やイスラム僧、牧主からなる封建的統治者層と、一般牧民などの階層分化がみられた。スンニー派のイスラム教徒であるが、中央アジアのなかではイスラム色があまり強くない。近年は定着化して農耕に従事する者が増えてきている。
[横山廣子]
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