改訂新版 世界大百科事典 「アオカズラ」の意味・わかりやすい解説
アオカズラ
Sabia japonica Maxim.
暖地の疎林中に生えるアワブキ科のつる性落葉低木で,枝が緑色なので青葛(あおかずら)の名を得た。枝はうねって曲がり,若い時は短毛を帯びる。葉は互生し,卵状楕円形で両端が鋭形,全縁,表面は深緑色で光沢があり,長さ4~9cm,葉柄は長さ7~14mmで,落葉後,その基部が木化し,先端が二叉(にさ)になって残る。3月ごろ葉より早く,前年の葉腋(ようえき)から4~6mmの柄で1~3個の花を束生する。花は黄色で径6~7mm,花弁は5個,おしべは5本。めしべはふつう1個の扁平な球形で,長さ6mm前後の青い核果となるが,ときに2個の心皮がともに熟して双生状となる。四国,九州と中国大陸東・南部の暖帯に分布し,まれに観賞用として栽培される。中国では茎枝を漢方薬に用いることもある。
執筆者:濱谷 稔夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報