日本大百科全書(ニッポニカ) 「アガティアス」の意味・わかりやすい解説
アガティアス
あがてぃあす
Agathias
(536ころ―582ころ)
ビザンティンの詩人、歴史家。小アジアのミリナ生まれ。修辞学者の父をもち、法学を修めたのち弁護士(ここから彼の別名スコラスティコス)となる。韻文による恋愛詩集『ダフニアカ』(9巻)は現存しない。自作と同時代人の警句を集めた『新警句全集』(7巻)は残り、そのなかの彼の作品が100余り『パラティン詞華集』Anthologia Palatinaに収められた。『ユスティニアヌス帝の治世について』(通称『歴史』5巻)は未完に終わったが、552~558年を扱い、主としてゴート戦役とペルシア戦役を描いている。素材も文体もプロコピオスをまねるが及ばないといえる。しかし、歴史史料として6世紀なかばの実情を知るうえで欠かすことができない。コンスタンティノポリスで没す。
[和田 廣]