日本大百科全書(ニッポニカ) 「アケボノツツジ」の意味・わかりやすい解説
アケボノツツジ
あけぼのつつじ / 曙躑躅
[学] Rhododendron pentaphyllum Maxim. var. shikokianum T.Yamaz.
ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の落葉大低木。高さ2~6メートルで樹皮は淡灰褐色、滑らかで枝に毛がない。葉は枝先に輪生状に5枚つき、楕円(だえん)形、長さ3~5センチメートルで両端はややとがり、縁(へり)に剛毛がある。4~5月、葉の出る前に枝先に径約5センチメートルの桃色花が開く。花柄に腺毛(せんもう)がなく、花冠は5裂し裂片は広倒卵形で雄しべは10本あり、花糸に毛がない。果実は楕円(だえん)形、長さ約1.5センチメートルの蒴果(さくか)で、10月に褐色に熟して裂ける。本州の近畿地方以西と四国、九州の山地に分布する。
変種のアカヤシオはアケボノツツジに似ているが、花柄に腺毛が多く、雄しべ10本のうち5本は花糸の基部に微毛がある。本州の福島県以南に分布し、花の白いものをユキヤシオという。四国の西南部と九州の市房(いちふさ)山や高隈(たかくま)山などの山地には花柄に腺毛があり花糸に毛のない基準変種ツクシアケボノツツジがある。庭木として植える。
[小林義雄 2021年4月16日]