翻訳|hemp
幻覚作用のあるテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む大麻草の花や葉から作られる。乱用すると、思考力の低下や記憶障害などを招く。日本国内では大麻草の栽培や所持、譲渡は原則禁止されている。使用が規制されていなかったが、大麻を「麻薬」に位置付け、他の規制薬物と同様に使用罪の適用対象とする大麻取締法、麻薬取締法の改正法が昨年12月に成立。今年12月12日から施行される。大麻の不正所持や使用は麻薬取締法違反で7年以下の懲役となる。
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アサの別名タイマのことで、植物としての解説を中心に一般的な利用、栽培史、文化史などについては「アサ」の項目に譲り、ここでは含有成分とその作用を中心に述べる。
タイマは中央アジアから西アジア、カスピ海沿岸からシベリア南部、ヒマラヤ地方、北インド、さらには西インド諸島からアメリカなど広い地域に分布しており、タイマから得られる樹脂状浸出物を含め、古くからいろいろの名でよばれてきた。中東や北アフリカではハシシュhashishといい、東南アジアなどではチャラスcharasとよぶ。さらにはバンbhangとか、ガンジャganjaともいい、1960年代からアメリカで急激に流行したマリファナmarijuanaの名はよく知られている。一般には、これらを含めて大麻と総称する。
大麻の主成分はカンナビノール、カンナビジオール、カンナビノール酸などテトラヒドロカンナビノール(THC)の異性体である。乾燥した大麻の葉などを切り刻んで、たばこに混ぜて喫煙すると、これらの成分が吸入されて数分以内に効果が発現するが、持続時間は比較的短い。しかし、精製された樹脂またはTHCを経口的に投与した場合には、作用発現までに30分から1時間を要し、その作用は3~5時間持続する。
大麻の作用は、脈拍の増加、結膜の充血、口腔(こうくう)や咽頭(いんとう)の乾燥感がみられ、めまい、悪心(おしん)、ときに嘔吐(おうと)がおこる。食欲は著しく増進する。血糖値、呼吸数、血圧などには変化がない。作用は服用者によって個人差があり、用量や投与経路によっても異なるが、意識がだんだん変化して夢幻状態になってくる。すなわち、思考に前後の関連性がなくなり、自由奔放に思考が駆け巡るようになる。数分が数時間に感じられたり、近くのものが遠くにあるように見えたりする。大量に服用すると、幻覚を経験する。極端な安寧感や喜びの興奮がおこり、笑いが止まらなくなったりする。ちょっとした刺激で愉快にはしゃぎ回ったりするが、そのあとはぼんやりと考え込むようになる。1人の場合は鎮静的であるが、仲間といっしょになると多弁で陽気にふるまう現象もみられ、大量投与では死の恐怖感が観察される。しかし、犯罪的行為や攻撃的行動はあまりおこらない。禁断症状としては、ふたたび吸入したくなる精神的依存がみられるが強いものではなく、吸わないと身体的な障害がおこるといった身体的依存はない。また、大麻中毒者ではなんらかの心理的要因によって喫煙時と同じ症状を発する再現症状がみられることがあり、フラッシュバック現象とよばれる。
なお海外では、マリファナの喫煙は合法となっている国もあるが、日本では大麻取締法によって栽培、所持、譲受、譲渡などが規制され、不正取引や不正使用などが禁止されている。
[幸保文治]
大幣とも書く。「ぬさ」とは『万葉集』や『古今集』に奴佐(ぬさ)、幣(ぬさ)とみえ、本居宣長(もとおりのりなが)が『古事記伝』に「奴佐は神に手向(たむけ)る物をも云(いう)、又祓(はらえ)に出す物をも云」と解したように、麻(あさ)や木綿(ゆう)などでつくった神に奉る供え物、また罪穢(つみけがれ)を祓う祓串(はらえぐし)や贖物(あがもの)を意味する。『古事記』の仲哀(ちゅうあい)天皇条に「国之大奴佐」をもって、生剥(いきはぎ)・逆剥(さかはぎ)・阿離(あはなち)などの罪ごとを清める国の大祓(おおはらい)をなすとある。大麻とは、不浄を清める祓麻(はらいぬさ)にこもる神霊の働きをとなえたもの。さらに大麻とは、伊勢の神宮大麻(じんぐうたいま)をさす。『吾妻鏡(あづまかがみ)』によれば、1180年(治承4)源頼朝(よりとも)が神宮祠官(しかん)に千度祈祷(きとう)を依頼したとある。そのように神宮の御師(おんし)が祈りを込めた御祓大麻(おはらいたいま)を全国の檀家(だんか)に配り歩く風俗は、江戸時代に最盛期を迎えた。しかし1872年(明治5)、神宮制度の変更に伴い従来の御祓大麻を神宮大麻と改称。広く全国の崇敬者に対して、伊勢神宮を朝夕に礼拝するよりどころとなるように、神宮司庁から頒布(はんぷ)されている。
[中西正幸]
「おおぬさ」ともいう。神道(しんとう)儀礼における祓(はらえ)の具。現在普通にみるものは、榊(さかき)のやや長めの枝に麻苧(お)と白幣とを取り付け、あるいは略して白幣だけを取り付けたもので、これを参拝者の頭上で振ることによって罪穢(つみけがれ)を祓(はら)うというものである。しかしもともとヌサとは神に捧(ささ)げる布類のことであって、それが多くは麻地であったところから、その文字を麻とするようになった。日本人は神も人と同じように生活していると信じたから、神祭りには食物とともに衣料も捧げねばならぬと考えた。それがヌサのおこりであった。それで、旅をするときにもつねに麻を小さく裁断して携行し、これを行く先々の神に手向けた。これが切麻(きりぬさ)である。一方、罪穢を祓うには、これを人形(ひとがた)に負わせて流しやればよいという考えがあったため、やがて人形のかわりに衣装、さらには布地を用いる風も生じた。祓の具としての大麻は、これがさらに形式化され、整備されたものと考えられる。
[石塚尊俊]
(星野美穂 フリーライター / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
古くは〈おおぬさ〉と言い,伊勢神宮で歳末ごとに頒布する神札のこと。一般神社の神札の名称として用いることもある。古来,寺院では大般若経,仁王経などを何度も読誦し,その回数を記した巻数(かんず)を祈禱依頼者に配ったが,伊勢神宮もはやくからこれにならい,祓詞(はらえことば)を何度も修して千度祓,万度祓のお祓大麻を配った。神宮では〈大御璽(おおみしるし)〉と称し,〈お祓さん〉とも〈大神宮さん〉とも親しみを込めて呼ばれた。鎌倉時代にはすでに記録に見え,神宮に所属する御師の手によって全国に配布された。普通お祓大麻をのし形に包んだ剣先祓(けんさきばらい)で,丁重なものは箱に収めて配った。1871年(明治4)の御師の廃止につづいて御祓の配布廃止の命令が出され,神宮司庁がこれの頒布をすることになった。第2次大戦後は神社本庁を通じて全国に頒布されている。
執筆者:茂木 貞純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
[別用語参照]マリファナ
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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