アザデガン油田(読み)あざでがんゆでん

共同通信ニュース用語解説 「アザデガン油田」の解説

アザデガン油田

イラン南西部のイラク国境近くに広がる大規模油田推定埋蔵量は約260億バレル。2000年、日本企業に開発の優先交渉権を与えることで両国合意したが、イラン核問題が深刻化、イランと対立する米国からの圧力で日本は10年に撤退。核合意に伴う対イラン制裁解除を受け、日本の国際石油開発帝石(INPEX)やフランスのトタル、英・オランダのロイヤル・ダッチ・シェル、中国国有の中国石油天然ガス集団(CNPC)、マレーシア国営ペトロナスが開発に向けた覚書締結。新たに英BPやイタリアENIなども国際競争入札参加に前向きな考えを示した。(テヘラン共同)

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知恵蔵 「アザデガン油田」の解説

アザデガン油田

イラン南西部のイラクとの国境地帯の油田。イラン政府によれば260億バレルという世界最大級の確認埋蔵量を誇る。2000年夏から通産省(現経済産業省)がイランとの交渉を開始し、04年2月に日本企業グループが開発権益を取得した。総事業費は20億ドル(約2200億円)とされる。しかし、イラクとの国境地帯にあり、治安上の懸念が残る。また地下で油層がイラクのマジュヌーン油田につながっている可能性もあり、将来イラクとの間で問題となるかもしれない。原油の質も高くない。日本がこの油田の開発権の獲得に急いだ背景には、00年初めに日本のアラビア石油サウジアラビア政府の交渉が決裂し、同石油のサウジアラビアでの石油採掘権が失効した事実があり、その穴埋めとして大きな「成功」を経済産業省が求めていた、との見方もある。米国はイランの核疑惑が存在する時期に日本が投資すべきでないと、再三にわたり反対を表明している。日米関係の重視か、エネルギー確保か、日本は難しい立場に立たされている。同時に、これを機に同油田開発の経済性そのものを再検討すべきとの見解も存在する。巨額の税金を投入しての開発権取得の過程も、納税者に説明されるべきである。

(高橋和夫 放送大学助教授 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アザデガン油田」の意味・わかりやすい解説

アザデガン油田
あざでがんゆでん
Azadegan

イランのフゼスタン州にある油田。1999年9月に発見された。イラン側の発表によると推定(原始)埋蔵量は260億バレル、可採埋蔵量30億~100億バレルともいわれる。イランでは過去30年で最大の発見といわれている。同油田の発見後、欧米のメジャーなどが開発への関与に関心を寄せていたが、2000年(平成12)11月、訪日中のイラン大統領ハタミと日本政府の間で交渉がまとまり、日本企業が同油田開発の優先交渉権を得ることが決定(その後優先交渉権は交渉期限の2005年6月末までに交渉が妥結しなかったため失効)。2004年2月に交渉当事者間で合意が得られ、日本の国際石油開発(略称インペックス。2001年インドネシア石油から社名変更。現国際石油開発帝石)がイラン国営石油会社(NIOC)およびその子会社と油田の評価・開発にかかわる契約を締結した。日本側は当初75%の権益を有していたが、2006年に65%をNIOCへ譲渡し、現在は10%の権益で開発に参加している。

[小山 堅]

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デジタル大辞泉プラス 「アザデガン油田」の解説

アザデガン油田

イランにある油田。イランとの国境付近に位置する。1999年発見。埋蔵量は同国最大規模といわれる。

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