改訂新版 世界大百科事典 「アジリジン」の意味・わかりやすい解説
アジリジン
aziridine
エチレンイミンethylenimin,アザシクロプロパンazacyclopropaneとも呼ばれる。アンモニアのようなにおいのする無色透明の液体。沸点55~56℃,比重0.8371(20℃)。非常に強い毒性をもち,皮膚や粘膜との接触,吸入,経口接触のいずれの場合にも,人体に対して激しい障害を起こす。また引火性,爆発性もある。β-アミノエチル硫酸に水酸化ナトリウムを作用させて合成する。
第二アミンとしての性質を示すほかに,3員環化合物として開環反応を行う。酸触媒の存在下には開環重合が起こる。
場合によっては痕跡の水や二酸化炭素さえも重合触媒として作用し,爆発的な重合を起こすこともある。医薬品,農薬,繊維処理剤,紙質改良剤,凝集剤,接着剤などの原料,中間体として用いられる。
執筆者:小川 桂一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報