凝集剤(読み)ギョウシュウザイ(その他表記)flocculating(coagulating) agent
flocculant

デジタル大辞泉 「凝集剤」の意味・読み・例文・類語

ぎょうしゅう‐ざい〔ギヨウシフ‐〕【凝集剤】

コロイド溶液で粒子凝集させ、沈殿を促すための添加物無機塩類などの電解質高分子凝集剤がある。水道水の浄水工程で利用される硫酸アルミニウムなどが知られる。

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共同通信ニュース用語解説 「凝集剤」の解説

凝集剤

微粒子電荷という反発し合う性質を中和し、水中の浮遊物を集合・沈殿させる作用がある。ポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムが代表的で、全国浄水場下水処理場ほか、製紙工場の工業用水などでも使われる。経済産業省の化学工業統計によると、2012年の生産量はポリ塩化アルミニウムが約59・4万トン、硫酸アルミニウムが約60・6万トン。

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改訂新版 世界大百科事典 「凝集剤」の意味・わかりやすい解説

凝集剤 (ぎょうしゅうざい)
flocculating(coagulating) agent
flocculant

液中に分散する微粒子が会合して,より大きな集合体となる現象を凝集flocculation(coagulation)と呼び,凝集によって生成する集塊を凝集体またはフロックflocと呼ぶ。凝集剤は凝集を助長するためにスラリー(粒子懸濁液)に添加する薬剤である。

 一般に用いられている凝集剤は無機凝集剤と有機高分子凝集剤に大別される。無機凝集剤は,液中にアルミニウムやカルシウムなどの多価陽イオンを発生する電解質であって,粒子相互の反発(すなわち分散)の原因である粒子表面の荷電を中和させる作用により,凝集をひき起こす。有機高分子凝集剤は,ポリアクリルアミドなどのような非イオン性有機高分子物質,あるいは陽イオン性,陰イオン性の有機高分子物質であって,これらは主として水素結合によって粒子表面に吸着され,粒子間の架橋効果により凝集をもたらすと考えられている。

 凝集剤は,鉱業,化学工業,土木工事におけるスラリーの沈降分離や,ろ過,水処理において,沈降促進剤,ろ過促進剤などとして広く用いられる。近年,工業廃水等による環境汚染の防止,除去のため,その必要性が急激に増大した。紙・パルプ工業の廃液処理,水産,食品産業廃水からのタンパク質や血液の除去等にも用いられている。なお物理的凝集手段としての加熱,超音波処理も併せて行われる。
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