アストロフェルとステラ(読み)アストロフェルトステラ(その他表記)Astrophel and Stella

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アストロフェルとステラ」の意味・わかりやすい解説

アストロフェルとステラ
Astrophel and Stella

イギリス詩人 P.シドニーソネット集。 1591年刊。 1590年代のソネット集流行の端緒を開いたもの。 108のソネットと 11のソングから成る。執筆は 80年から 84年の間と考えられる。恋人ペネロピー・ドゥブルーをモデルとするステラへの望みなき思慕をペトラルカ風に歌い,強い真情がこもっている。全体として一貫した構成はもたないが,それでも劇的な展開が認められる。詩作の理由,恋のなれそめ,恋と詩の性質を語る最初のグループには抽象的で装飾的な詩が多く,やがて伝統的手法を離れて地上的な要素を増し,最後に別離の苦しみを歌う最も個人的な性格の強い詩で終る。

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世界大百科事典(旧版)内のアストロフェルとステラの言及

【シドニー】より

…ほかの文人たちにとっても強力な理解者であり保護者であった。彼自身も詩才にめぐまれ,ステラ(〈星〉の意)なる仮名の女性に対する,アストロフェル(〈星を愛する者〉の意)のとどかぬ思慕を歌ったソネット集《アストロフェルとステラ》(1580‐84作,91刊)は,イギリスにおけるペトラルカ風恋愛ソネット大流行の口火を切った。散文としては,牧歌郷アルカディアに流れついた2人の王子の恋物語《アーケーディア》(1590)があり,ルネサンス牧歌文学(パストラル)の重要な作品。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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